【レビュー】「トイ・ストーリー」シリーズの大人気キャラクターの誕生とそのルーツ―『バズ・ライトイヤー』




ピクサーが誇る不動の人気アニメシリーズ『トイ・ストーリー』からの堂々たるスピンオフ作品が待望の公開を迎えている。

シリーズを通して人気の高いキャラクター、バズ・ライトイヤーのスペース・レンジャーとしてのルーツが明かされる。

本作自体が、シリーズに登場するアンディが大好きだったバズを主人公とした映画、という設定だ。

責任感は強いが自身の能力を過信したことで、1200人の乗組員とともに危険な惑星に不時着してしまったバズは、全員を地球に帰還させるミッションに挑む。

バズの相棒の猫型ロボットのソックや新米のジュニアパトロールたちなど、個性豊かで魅力的なキャラクターたちも物語を盛り上げる。

だが何気に映画のテーマは、子供よりは大人にこそ響くのでは、と思えるほどに哲学的で深い。

他人の失敗を赦すこと、自分の失敗を受け入れること。

過去の失敗の上に築かれたその後の人生それ自体の価値。

他人を信じ他人を頼ることの大切さ。

その物語は、ともすれば失敗を袋叩きにする傾向が強まる一方の潔癖の現代社会に一石を投じるような内容だ。

運命に翻弄されるバズの物語を見ながら、アフリカに伝わる格言を思い出した。

「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければ皆で進め」

本作は『トイ・ストーリー』シリーズからのスピンオフとはいえ、設定的にはむしろ逆で本作の映画の主人公がおもちゃ化されたのがシリーズで大活躍を見せるバズだ。

本作での経験や記憶がそのままおもちゃのバズに引き継がれてると考えると、腑に落ちる点も多く、シリーズ本編でバズと仲間は本当に遠くまで行けたなぁ、としみじみ思い返すといった楽しみ方もできる。

バズのおなじみのセリフ「To infinity…and beyond!(無限の彼方へさあ行くぞ!)」が劇中のどんなシーンで語られることになるのか。

特に「トイ・ストーリー」ファンなら抑えておきたい一本だろう。

 

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毘沙門天 華男
映画、旅、ボクシング、読書、絵を描くこと、サウナ、酒が趣味の福岡出身の多動性中年。このプロフィールを書いてる途中もドラクエウォークをしています。