【レビュー】最後の任務で失うのはキャリアか、それとも良心か?―『ウォー... CINEMA 2021.02.04 毘沙門天 華男 イラン映画の勢いが止まらない。 主人公は刑務所の所長。昇進を控えた彼の最後の任務は、刑務所の移管に伴う囚人たちの移送だった。 ところが移送手続の合間にひとりの死刑囚が忽然と姿を消し……
【レビュー】その1人の嘘つきは信仰を実践して他者を救おうとした―『聖な... CINEMA 2021.01.31 毘沙門天 華男 ポーランドのアカデミー賞最多部門に輝きアカデミー賞国際長編映画賞にもノミネートされた話題作が公開中だ。 その物語は実際に起きた出来事に基づく。 少年院を仮釈放された主人公はその犯罪……
【レビュー】麻薬王VS捜査官 イラン映画が魅せる力強さ―『ジャスト6... CINEMA 2021.01.27 毘沙門天 華男 良い意味で「これがイラン映画なのか」と驚かされる作品が今話題を集めている。 そもそもイランでは政府による検閲をクリアしないと映画を公開することはできず、クリア条件の厳しさは世界ワー……
ゾンビは障害物!?人間愛を描いたドリフト映画―『新感染半島 ファイナル... CINEMA 2021.01.24 毘沙門天 華男 前作『新感染 ファイナル・エクスプレス』が公開されたのが2016年。 前作はゾンビ映画というジャンルでありながら人間にしっかり焦点を当てた感動作として多方面から高い評価を得た。 そ……
【レビュー】何故彼女は異物を飲み込むのか?衝撃のスリラー『スワロウ』 CINEMA 2021.01.20 毘沙門天 華男 絶えず不安がつきまとう雰囲気の中に美しい金髪の主演女優が見事に映える。 物語自体は十分にショッキングなスリラーだ。 裕福な一家の息子と結婚してお腹に子供も授かった主人公は、客観的に……
【レビュー】井筒監督最新作、現代に突きつける昭和アウトローのパワフルな... CINEMA 2021.01.15 毘沙門天 華男 井筒和幸監督の最新作は、戦後の昭和をエネルギッシュに生き抜いた1人の極道の男の物語。 高度経済成長期、バブル、物理的な豊かさと欲望に向かって資本主義がひたすらに突き進んでいた時代に……
【レビュー】映像の詩人・テレンス・マリックが描く愛と裏切りで美しくゆら... CINEMA 2021.01.14 毘沙門天 華男 映画界の“生ける伝説”とも言われる巨匠テレンス・マリック、その真骨頂ともいうべき映像美を堪能できる「2020年、最も美しい映画」かもしれない。 それはアカデミー賞3年連続受賞の天才……
【レビュー】美しさと強さを兼ね備えた圧巻のスーパーヒーロー、再び―『ワ... CINEMA 2021.01.10 毘沙門天 華男 大ヒットした前作『ワンダーウーマン』の公開からはや3年、前作同様パティ・ジェンキンス監督と主演ガル・ガドットのタッグが待望の続編を満を持して送り出した。 バットマンその他のDCシリ……
【レビュー】炎のように静かに強く燃える禁断の恋―『燃ゆる女の肖像』 CINEMA 2021.01.09 毘沙門天 華男 徹頭徹尾、視線に関する映画だ。 人が人を見つめること、見つめたいと思うことの意味、ひいてはあえて見つめないよう努めることの意味さえもが深く掘り下げられている。 画家がモデルを細かく……
【レビュー】今度の のんは不器用で愛すべき“おひとりさま”―『私をくい... CINEMA 2020.12.28 毘沙門天 華男 『勝手にふるえてろ』以来の綿矢りさ原作✖️大九明子監督のタッグ作品は、31歳“おひとりさま”女子による不器用なラブストーリー。 脳内にバーチャルに存在する相談役Aといつも会話しなが……
【レビュー】クラフト感溢れる出会いと繋がりを描いた現代の恋愛映画―『パ... CINEMA 2020.12.19 毘沙門天 華男 SNS全盛に加えてコロナ禍によりさらに人と人との手触り感のある繋がりが減った現代社会へ、フランスの恋愛映画の名手セドリック・クラピシュ監督から心暖まるプレゼントのような映画が届いた……
【レビュー】静かな饒舌さで描かれる美しき世界と、生きることの孤独と勇気... ANIMATION 2020.12.15 毘沙門天 華男 映画を見始めて少し経って、ん?この感覚は何かに似てるな、と思ったら一人旅をしている時の感覚だった。 少なくとも自分は一人旅をすると、誰かと旅をする時以上に、世界の光、色、音、動きを……
【レビュー】薄暗く閉ざされた世界でフラッシュ点滅しながら加速する狂気一... CINEMA 2020.12.11 毘沙門天 華男 カンヌ国際映画祭の常連にしてその出品作品が賛否両論を巻き起こしがちなフランスが誇る奇才、ギャスパー・ノエ監督。 雪山の廃墟の中で誤ってLSDを摂取したダンサーたちが、地獄絵巻さなが……
【レビュー】過去や今から抜け出すためのリング、未来をつかみ取るための拳... CINEMA 2020.12.10 毘沙門天 華男 何故ボクシングには人生のドラマがこれほどまでに凝縮されて投影されるのだろう――。 何かを背負ったり何かを乗り越えようとする人間が、必死にリング上の戦いにしがみつき、相手に抗いながら……
【レビュー】我が子を失った母親が、我が子を想起させる少年と出会う―『お... CINEMA 2020.11.12 毘沙門天 華男 愛する者を失った人間の喪失感は何が癒すのか。 悲しみの暗い落とし穴に落ちてしまった人間は、どうやって穴をよじ登り再びその目に光を見るのか。 この映画は、6歳の我が子を失うという悲劇……
【レビュー】変化に取り残された人間の、いつまでも変わることのない郷愁―... CINEMA 2020.11.09 毘沙門天 華男 インディペント映画を対象としたアメリカのサンダンス映画祭。 この映画祭で監督賞と審査員特別賞のダブル受賞を果たした、心に深い余韻を残す映画が公開中だ。 まず特筆されるべきは、この物……