大ヒットした前作『ワンダーウーマン』の公開からはや3年、前作同様パティ・ジェンキンス監督と主演ガル・ガドットのタッグが待望の続編を満を持して送り出した。
バットマンその他のDCシリーズはその雰囲気の暗さに特徴があるが、ワンダーウーマンだけは異質だ。
明るく輝いている彼女の魅力が映画自体を明るくしている。
コスプレ感の強いコスチュームや、それこそ漫画のように速すぎる動き、銃弾すらはね返す強靭さ、これらの全ても何故かしっくりきてしまう。
これは彼女の純真なキャラクターによるところも大きいが、そこに説得力を与えているのはやはり女優ガル・ガドットの無垢な美貌、真剣味ある表情だろう。
観客はそのうちすぐにスクリーンで彼女が縦横無尽に活躍する姿から目が離せなくなる。
今回のテーマは人の願望の大きさと真実の重要性。
同じ願望でも、希望と欲望はどこで区別されるのだろう。
真実を前に、覚悟を決めることと諦めることは何が違うのだろう。
これまで真実の投げ縄を振り回しては端的に真実を見極めてきたワンダーウーマンも今回ばかりは文字通り一筋縄ではいかない。
本作のテーマには資本主義が高揚した1980年代という時代設定も大きく関わっている。
他方で単なる過去ではなくどこか現代社会の問題にも重なるように思えたのは、監督の見事な手腕というべきか。
一方、映画自体を正面からひたすらに盛り上げるのは映像と音楽だ。
アクションシーンは前作を上回るほどの迫力と緊張感に満ちている。
そんな映像を大音量の音楽が包み込む――。
音楽を手がけたのは「パイレーツ・オブ・カリビアン」のテーマ曲などで知られる巨匠ハンス・ジマー。
DCシリーズやX-MEN作品の音楽も手がけている彼が作った音は観る者を一気に興奮状態に押し上げる。
ラブストーリーの要素にも触れないわけにはいかない。
ワンダーウーマンの一女性としての喜びや哀しみ、そして最強ヒロインとしての覚悟といった感情の移ろいは、アクションシーンに引けを取らないほどに本作を味わい深いものにしている。
終わってみると、この時期に劇場公開されたことも頷ける大迫力のクリスマス映画だった。
『ワンダーウーマン 1984』
■監督:パティ・ジェンキンス
■出演:ガル・ガドット、クリス・パイン、ペドロ・パスカル、クリスティン・ウィグ、ロビン・ライト
■配給: ワーナー・ブラザース映画
Ⓒ 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (c) DC Comics