【レビュー】カニエ×N・ナイト×J・タレル──映画『Jesus is King』はやはりすごかった

ジーザス・イズ・キング




10月25日にリリースされたカニエ・ウェストのアルバム『Jesus is King』のドキュメンタリー映画『Jesus is King』。

アメリカで公開され、アルバムと同じく大きな反響を呼んだ本作が、3日間限定で7月にオープンしたばかりのシネコン・グランドシネマサンシャイン(池袋)で上映されるということで、行ってきた。

内容は、『Jesus is King』の収録曲のみならず、カニエによってアレンジされた伝統的なゴスペル曲が聖歌隊によって演奏された今夏に行われたサンデーサービス(日曜礼拝)のドキュメンタリー映像となっている。

会場は、アリゾナ州北部のペインテッド砂漠にあるジェームズ・タレルのアート・インスタレーション「ローデン・クレーター」。

ジーザス・イズ・キング

本作は1972年から制作がスタートし、未だに完成をしていない「ローデン・クレーター」の内部を撮影した初の映像でもある。

監督は、カニエのMVも手掛け、世界的なフォトグラファーであるニック・ナイト。まさに、3人の天才の表現が集結したからこその尊い作品だった。

32分弱の映像の中で、冒頭を始め聖書からの引用が随所に挟み込まれつつ、様々な画角でサンデー・サービスのパフォーマンスが臨場感を持って映し出される。

青空を円で切り取ったようなタレルの作品の下というか中で、聖歌隊がダイナミックに踊り歌う。

合間に鹿や植物の映像が入り、今年のコーチェラの配信映像と同じく画面を円でくり抜いたようなショットも多用され、それがタレルの円の空と共振し、深い奥行きと美しさを作品にもたらしているところはさすがニック・ナイト

それをグランドシネマサンシャインの大画面のIMAXの映像と音響で味わうのは、終始鳥肌が立つ程の体験だった。

人生が赤裸々に投影された音楽を作り続けるカニエ・ウエストが、様々な経験を経て、この『Jesus is King』でいかにして救われようとしたのか──。

永遠に浸りたいと思ってしまうような至高の映像作品だ。

なお、あまりの反響の大きさに急遽追加上映が決定し、同じく池袋のグランドシネマサンシャインIMAXシアターにて12月13日(金)~15日(日)の3日間上映されることになった。

 

『ジーザス・イズ・キング』

■製作:カニエ・ウェスト
■監督:ニック・ナイト
■出演:カニエ・ウェスト、サンデーサービス聖歌隊(The Sunday Service Choir)
■製作総指揮:ダミエン・スミス
■主題歌・挿入歌:“SELAH” (IMAX VERSION) 、“SAY YOU WILL”、他11 曲
■配給:IMAX

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小松 香里
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