あの『テッド』のユニバーサル・スタジオ最新作『スラムドッグス』で、ロバートの秋山竜次とマギーが日本語吹替版ボイスキャストを務めた。<愛犬家は鑑賞注意!>のオトナ向けペットコメディとなる本作の魅力やテーマ、個性的な犬のキャラクターを演じた感想などをふたりに聞いた。
―ひどい飼い主に復讐を果たす犬たちのドタバタ珍道中を爽快に描くという、王道の動物映画とは一味違う作風に驚かされました。
秋山:そうなんですよ。犬のハートフル系はよくあるけれど、あんまりない感じでよかったですよね。腰をふるとかウンチとか犬のダーティな部分に思い切り踏み込んでいるんで、楽しかったです。面白かった。
マギー:愛犬家の自分としてはワンちゃんに悲しい想いをさせたり、言葉を選ばずにいうと虐待とかが描かれていて、世の中にはそういう飼い主もいると思うので、同じような罰を受けちゃうよ、と思いました。
秋山:これを観て心痛める人もいるだろうし、もしかしたら犬たちもあれくらいのテンションで本音は思っているかも知れないとも思いましたね。
マギー:そうなんです。そう考えると胸が痛くなってしまって……。面白いだけじゃなく、悪い飼い主へのメッセージもあるのかなと思いました。
―おふたりが演じたレジーとマギーをはじめ、4人で録っているかのような会話の掛け合いも楽しかったです。
秋山:犬そのものは画面にいて、ワンちゃんの表情は読み取れたので。
マギー:そうですね。声はないけれど、相手の表情は分かりました。
秋山:パーティーとかは犬のテンションに合わせて収録をしましたね。
―秋山さんはお笑い要素抑えめの真面目な吹替えで、マギーさんは優しさや気品を感じられる素敵なボイスアクトでした。
秋山:ありがとうございます。最初は飼い主に忠実に、途中から仲間と過ごすことになるので、ほかの3匹に導かれていく感じもありましたね。マギーさんは、本当に犬種から何から合っていますよね。紅一点の感じも。
マギー:ありがとうございます。この子は品があって大人っぽく、クールな声のトーンで演じるということだったんです。
秋山:お嬢さんだよね。あこがれのお姉さん的な。
マギー:秋山さんみたいに、普段の声を変えることはなかったですね。ただ、自分なりに声を低めにして、お嬢様っぽい語尾にしました。みなさんが良いとおっしゃってくれてよかったなと思います。いい経験でした。
秋山:マギーがマギーを演じるなんて、絶対ないからこの感じは(笑)。僕は最初このタイプのキャラクターだと思っていなかったんですよ。大きな犬もいましたし、犬の吹替えは初めてなので。最初は小ぶりな感じでやっていたのですが、そんなに作らなくてもいいということでした。
―収録前にどういう準備をしたのですか?
秋山:そう言えばマギーちゃんは家で練習しておいたんでしょう?
マギー:自分のワンちゃんにアテレコして、犬の気持ちを想像していました(笑)。わたしの父が実は声優なんですよ。ボイスアクターなので、オファーが来た時に最初に父に相談したら、「まずは犬の気持ちになって四つ足歩行をやってみなさい」と(笑)。
秋山:マジで!?
マギー:秋山さんが(イベントで)冗談で言っていたじゃないですか(笑)。だからその時一言も言わなかったけれど、真面目に言われて。本当のプロってそうするんだと。わたしはやらなかったですけど(笑)。
秋山:お父さんもジョークで言っているのではなくて?
マギー:真剣でした(笑)。
秋山:俺がそういうこと言っていた時、お父さんと同じ人がいると思っていた(笑)?
マギー:本当にやっているんだなと思いました(笑)。
秋山:まさか親がガチで言う共演者の方がいるとは思いませんでした(笑)。
―最後になりますが、『スラムドッグス』を楽しみにしている方たちへ一言お願いいたします。
マギー:4匹まったく違うキャラクターで、“4種4様”のキャラクターの大冒険、喜怒哀楽の旅です、一気に観終わってしまう、ずっと感情移入してしまう映画なので、笑ってたと思ったら急に切なく胸が痛くなったり、ちょっと目を背けたくなったり、応援したくなったり、感情がコロコロ変わる映画になっています。ちょっとだけ一緒に観に行く人は考えつつ(笑)、それでもぜひいろいろな方に観てほしいです。
秋山:イメージしているワンちゃんイコールほのぼの映画とは正反対の感じで、とにかく逆襲を軸に入れているので、新しい感じの映画だと思います。途中でいきなりヒップホップが流れたり、ブッ飛んだ映像が流れたり、トランス状態の映像が流れたり(笑)。もう、ブッ飛び映画です。でもその隙間で泣けるのも不思議な感覚だと思うので、ぜひ観てください。
吹替版:ロバート・秋山竜次、マギー、森久保祥太郎、津田健次郎、森川智之ほか
日本公開:11月17日(金)
配給:東宝東和
国内レイティング:PG12