【レビュー】5人の男女をサメの絶望的恐怖が襲う―『海上48hours ―悪夢のバカンス―』




男女入り混じったグループがノリノリでバカ騒ぎしてるときまってゾンビや殺人鬼に襲われる、というのはホラー映画の定番だが、ビーチリゾートだと襲撃者が違ってくる。

そう、サメだ。

舞台はメキシコ、映画前半の天国のようなビーチパーティーの楽しさは中盤から一変する。

登場人物を一気に地獄に突き落とすのはサメの中でもその凶暴性で知られるホホジロザメ。

海のど真ん中でサメの恐怖に正面から向き合うことになるのはバカンス満喫中のアメリカ人学生5人組。

無断で2台の水上バイクに乗り込んで沖を走っていた際に衝突事故を起こしてしまい、水上バイクは壊れて彼らは陸へ帰る手段を失ってしまう。

1人は足に大怪我、携帯の電波は圏外、こんな状況下で仲間内での浮気はバレる等々、まさに踏んだり蹴ったり。そんな中で逆境の真打ちと言わんばかりに登場するのがホホジロザメだ。

男3人に女2人。

5人それぞれのキャラ分けもしっかりとされているので、逆境に立たされた状況下での人間関係も見どころだ。

ボートならまだしも、唯一の避難場所は壊れて海に漂うなんとも狭い水上バイクの上のみ。

大海を自由に泳ぎ回るサメを人間が相手にするにはあまりにアウェイすぎるシチュエーションだ。

青く美しい海とあまりにしつこいサメ。

個人的にビーチや海は大好きだけど、マリンスポーツ全般から足が遠のいてしまいそうなくらい、この映画のサメはシンプルに怖い。

いつもなら綺麗なビーチを映した映画を見ながら自分も現地に行きたくなる。

そんないつもとは違って、真っ青な海を見ながら「今映画館の中でよかった」と安心するひと夏の経験なんてどうだろう。

 

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