【レビュー】現金輸送車を警備する謎の男!ガイ・リッチー監督×ジェイソン・ステイサム主演―『キャッシュトラック』




古くは『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』を皮切りに、これまで数々のタッグを組んできたガイ・リッチー監督×ジェイソン・ステイサム。

この久しぶりの最強タッグが送る待望のクライム・アクションが公開中だ。

やはりこの組み合わせは間違いない。

フランス映画『ブルー・レクイエム』のリメイク作品だが、もはやジャンル自体が「ジェイソン・ステイサム」。

そう言っていいほどに彼のほとばしる色気をたっぷりと堪能できる快作に仕上がっている。

今回のステイサムは現金輸送車を運転する新人警備員パトリック・ヒルを演じる。

大量の現金を狙う強盗に立ち向かうべく、日々訓練を積んでいる警備員たちだが、寡黙な新人のヒルは着任早々起こった強盗事件において驚くべき戦闘スキルで強盗たちを完封する。

何事もなかったように日々任務をこなし続けるヒルと、そんなヒルの素性を次第に訝しがる同僚たち。

ヒルには何か目的があるのか? 彼に隠された過去とは?

ヒルの喜怒哀楽をほぼ表に出さないポーカーフェイスぶりが、唐突に始まるアクションの魅力をより一層高めている。

何かの目的のためにただ機械のように動くキャラクターが、後半に明かされる物語をより劇的にする。

ジェイソン・ステイサム、これ以上のハマり役はない。

『ブルー・レクイエム』を知らない人は前情報なしに、ヒルの同僚の警備員のような立場で、物語に没入するのもいいかもしれない。

ある時、仏頂面の新人が警備会社に入社してきて、異常な活躍を見せる。

強盗に襲われても微塵も緊張を見せず、これを射殺しても少しも感情を乱さない。

味方として信頼していいのか、実は何らかの敵なのか。

そんな頼もしさと不安が複雑に入り混じる中、輸送と警備を強いられる大量の現金は日々絶えず強盗の襲撃の脅威にさらされている。

真相がはっきりしないまま、実際の事件は警備員たちを待ってくれない。

その緊迫感と焦燥感は、まるで降りることもできず最後に停車するのかも不明なジェットコースターのようだ。

その席の最前列に座って表情一つ変えないのがヒルことジェイソン・ステイサム。

謎の多い彼の驚くべき一挙手一投足から最後まで目が離せないだろう。

 

『キャッシュトラック』

監督・脚本:ガイ・リッチー
出演:ジェイソン・ステイサム、スコット・イーストウッド、ホルト・マッキャラニー、
ジェフリー・ドノヴァン

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