【インタビュー】髙石あかり、「お芝居は心が大事だと改めて思いました」 アニメーション作品『きみの色』で声優初挑戦




俳優の髙石あかりが、山田尚子監督最新作『きみの色』で声優に初挑戦した。本作は、人が“色”で見える高校生トツ子、同じ学校に通っていた美しい色を放つ少女きみ、音楽好きの少年ルイの3人がバンドを組み、次第に心通わせて行く青春ドラマ。きみを演じた髙石に話を聞いた。

ー山田尚子監督の最新作ですが、出演が決まった時はいかがでしたか。

オーディションを経て『きみの色』への出演が決まったのですが、正直なところ受かるとは思っていなかったので、(合格の)お知らせを聞いた時は信じられない気持ちでいっぱいでした。頭が真っ白になったのですが、後からじわじわと実感が湧いて来たことを覚えています。

ー初挑戦のアフレコや完成した作品のことなど、全体的な感想はいかがでしょうか。

とても楽しかったです。難しいこともありましたが、全部が挑戦で学びの毎日だったので、そういう場に参加させていただけたことは、光栄でありがたいことだと思っています。試写を観た時にとんでもない作品に関わらせていただいたのだと、改めて再認識しました。

山田監督の作品では足元の切り取りや手や目のアップなど、人間の部分的なところを映し出すカットが好きなのですが、今回もそのシーンの瞬間に、年代特有の不安定さや、不安定だからゆえの気持ちがグッと高ぶってときめいた瞬間などがはっきり現れていて、とても素敵だなと思いました。

ー難しかったことはありましたか。

たくさんありました。収録現場での立ち方であったり、声の出し方。普通にしゃべっているだけでは、跳ね返ってくる自分の声がとても小さく聞こえたり。マイクよりも1~2メートル先に人がいると思ってしゃべると、意外と近くにいるように聞こえたりするんです。でも声を張り過ぎると、彼女の素朴な感じが薄れたりするので、その塩梅が難しかったです。

ー作永きみというキャラクターについて教えてください。

彼女はとてもクールで、人の期待に応えようと必死に頑張っているけれど、逃げるという選択をするんです。それが人間らしいと言いますか、学校に行かないこともひとつの道だと思うので、そういう選択を選んだ女の子です。

でも好きなことが出来て、それを披露するバンドのシーンでは自分の心が震え出すんです。自分の一面をあまり見せてこなかった子が、少しずつ表にあふれてきた、そういう人間らしい女の子かなと思っています。

ー山田尚子監督とのお仕事はいかがでしたか。

人間に対する愛や興味が深い方だなと思いました。あと人見知りな方なので最初は目が合わなかったりもしたのですが、お話をしていくうちにだんだんとお互い打ち解けたので、とてもうれしかったです。

ー今回のこの得難い経験が、次の現場にどう活かされていくか、考えたりすることはありますか。

この仕事は毎日(の生活)が仕事の糧になる部分があるのですが、今回声優という声のお仕事には、たくさんの学びがありました。そこで覚えた声の使い方は大事にしたいですし、声に特化しているので声のゆらぎで人を感動させられるのかと、とても勉強になりました。

そして改めて声でなく、心も大事ということを学びました。まず作永きみの心がゆれて、何かを感じて言葉が出た――それはすべてのお芝居に通じるものなので、改めてお芝居は心が大事だなと思いました。

ー最後になりますが、映画について一言お願いします。

声の仕事や役として歌をしっかり歌うことも初めてのことでしたし、その重要な役割をさせていただけてありがたく思っています。今後もう一度こんな素敵なことあるのかな、というくらい貴重な経験をさせていただきました。『きみの色』には伝えきれないほどの魅力がつまっている作品だと思っています。ぜひ多くの方に観ていただきたいです。

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ナビダ 錦小路
ディズニー、尾崎紀世彦、映画、海外旅行、大滝詠一、シベリア超特急、刑事コロンボ、三谷幸喜、007、ダウンタウン、筒美京平、タモリ、井上順、歌謡曲などが人並みに好きっ!