若手女優の優希美青が、壁井ユカコの同名小説を実写化した『NO CALL NO LIFE』に主演した。親の愛を知らず、悲しい過去を背負った女子高生・有海役は、自分自身の意外な<ある要素>が役に立ったとか!?ダブル主演の井上祐貴との共演の感想など、映画にまつわる話を聞いた。
―衝撃的な内容ではありますが、脚本の最初の感想はいかがでしたか?
最初に原作よりも台本を読みましたが、純愛だけれども普通の純愛とは違ったので、読み終わった時にすごく重い気持ちになりました。一瞬心がすっからかんになると言いますか、こういう終わり方なんだとラストに衝撃を受けました。だからこの題材を自分がやるんだと思った時、乗り切れるのかなって不安になりました。
―確かに有海のような経験はなさそうなので、不安にもなりそうです。
台本を読んでる時には自分と共感する部分がないと言うか、有海を理解できなかったし、自分の中に有海の要素を見つけられなかったので、できるか不安になってしまいました。
―監督には相談しましたか?
監督が現場で話し合う時間を多く取ってくださって、わたしがわからなくなっていた時に、「自分が最初に感じた感情が正解だと思うよ」と言っていただいて。だから、役作りらしいものはしていなかったです。
―なんでも優希さんの中にある<闇>が有海そのものだったとか!?
そうですね(笑)。監督はわたしの中に「闇がある」と仰っていて、有海を演じる俳優はわたししかいないと言ってくださいました。最初は持ち上げているのだと思っていましたが、いざやってみたら確かに有海はわたし自身だと思うこともありました。わたしの素の部分を監督に一瞬で見破られて怖いなって思いました(笑)。
―どういうところがリンクしていたのですか?
有海のようなエピソードではないのですが、この仕事を始めた時に父は福島で残って仕事をしていたので、家族そろってのご飯を何年も食べられなかった時期があったんです。たとえば友だちの話を聞いている時、家族で旅行に行った、夜ご飯をみんなで食べたみたいな話が出ると、わたしには無理なことはわかっているのですが、いいなあと思ってしまうことが多々あり、ちょっとした家庭の幸せに飢えていました。そういう意味ではたぶん有海も一緒なので、そういうリンクはありました。
―そして、春川役の井上祐貴さんとの共演はいかがでしたか?
初日は井上さんと何回もテストをしたのですが、真面目な方だなという印象を受けました。その後もわたしたちふたりが役をつかみ、役に入るまで何回もテストをして、段取りも何回もやりました。ふたりが完全に役に入り込むまで時間がかかったかもしれないですが、入ってからはスムーズでした。
―その努力が実り、映画の中ではまるでお芝居をしていないみたいなナチュラルな関係性になりましたね。
監督の作品をいくつか観させていただいて、ナチュラルで間を大事にされる監督だなと思っていました。だから、今回は余計なことを何も考えずに臨みました。監督はいいシーンだと判断されたらまるまる映像使われて、尺とか関係なく間をいかしてくれる方だなと思ったので、監督を信じて演じていました。現場では自然に、自分がセリフを言いたい時に言っていました。
―今日はありがとうございました!この作品、どういう方に観ていただきたいでしょうか?
この作品は若い頃の、恋が盲目になってしまう時期じゃないけれど、本人たちはその時が目いっぱい幸せで、好きな人がいたら、それだけで幸せって思っているんです。そういう恋愛、誰もが共感できると思うんです。だから10代、20代の同世代の方は共感すると思いますし、大人は、当時の気持ちが懐かしくよみがえる作品になっていると思います。幅広く、いろいろな世代の人に観ていだければと思います。
『NO CALL NO LIFE』
公開表記:2021年3月5日(金)テアトル新宿ほか全国公開
配給:アークエンタテインメント
(C) 2021 映画「NO CALL NO LIFE」製作委員会