【レビュー】三池崇史監督が描く一晩のノンストップ・ボーイミーツガール劇―窪田正孝主演『初恋』




世界の三池崇史がバイオレンス映画ではなく恋愛映画を撮った!?バイオレンスを封印!?

それは全くの大嘘で相変わらず自由にやりたい放題。

笑ってしまうような暴力描写が続くわけだけど、それらが次第に主人公たちの純度の高い恋愛の誕生の輪郭を形作っていくから面白い。

ラッキーパンチで敗北を喫してしまったことを契機に、脳腫瘍も発見されて生きることを見失ったボクサーの主人公(窪田正孝)。

夜の繁華街で助けを乞う女の子に手を貸したことから、想像だにしないヤクザや腐敗警官の争い事に巻き込まれる――。

大森南朋、染谷将太、ベッキー、癖ありまくりの脇役キャラが個性を爆発させて暴力をぶつけ合えば合うほど、主人公たちの打算のない存在感と行動が純粋性を増していく。

これは東映ヤクザ映画の系譜をしっかり引き継ぎながら、一晩のボーイミーツガールを鮮やかに描いた三池版“トゥルー・ロマンス”だ。

 

『初恋』

窪田正孝 大森南朋 染谷将太 小西桜子 ベッキー
三浦貴大 藤岡麻美 顏正國 段鈞豪 矢島舞美 出合正幸
村上 淳 滝藤賢一 ベンガル 塩見三省 ・ 内野聖陽

■監督:三池崇史
■脚本:中村雅
■製作:「初恋」製作委員会
■配給:東映
■宣伝:ガイエ

Ⓒ2020「初恋」製作委員会

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毘沙門天 華男
映画、旅、ボクシング、読書、絵を描くこと、サウナ、酒が趣味の福岡出身の多動性中年。このプロフィールを書いてる途中もドラクエウォークをしています。