2004年に公開されるや瞬く間に世界中のホラーファンから熱狂的に迎えられた『ソウ』。
その後、『ソウ2』〜『ソウ6』『ソウ ザ・ファイナル 3D』『ジグソウ:ソウ・レガシー』と続き、全部で合計8作にも及んだ人気シリーズはいったん終了。
そして、ジグソウや後継者による『ソウ』シリーズは文字どおりリセットされ、新たに生まれたのが本作だ。
『ソウ』シリーズと登場人物や物語は重ならないものの、残虐な処刑ゲームや犯人の明確な犯行動機等、シリーズを貫く理念は確る実に本作にも引き継がれている。
本作では、ジグソウを彷彿とさせる新たな猟奇殺人鬼が登場、ただし狙われる被害者は何故か全て全て警官に限定される。
警察内部の根深い問題や一筋縄ではいかない人間関係の中で、主人公の警官ジークは相棒とともに必死の捜査を行うが、元警察署長のジークの父親も事件に絡むこととなり、真相の解明はますます困難を極めていく。
捜査が空回りする中、巧妙な犯人の罠により次々と死のゲームを強いられていく警官たち。
警察内部に広がる危険と高まる緊迫感、疑心暗鬼はまさに最高潮を迎えようとする。
『ソウ』シリーズでもおなじみだが、今回も不気味な人形がTV画面に映り、罠にかかった被害者に死のゲームの説明が行われる。
何らかの理由によりゲームを強いられる者たちは、痛みと引き換えにしたゲームのクリア条件の説明を受けるわけだが、相変わらず「よくこんなこと思いつくな…」とため息が出るほどの残虐さだ。
グロさ自体も少しパワーアップしてると言っていいかもしれない。
これまでのシリーズのように後半のサプライズを期待して観るもよし、鋭い洞察力で犯人探しをするものし、新たに登場する処刑マシーンを眺めてブルッと震えるもよし。
テンポよく物語は進んでいくが、これはもちろんテンポよく犠牲者の数が増えていくことを意味する。
とにかく最後まで緊迫感は途絶えることなく、スクリーンを凝視し続ける羽目になること請け合いだ。
犯人が犯行現場に必ず残す不気味な渦巻き(スパイラル)のマーク。
それはまるでそこから誰一人抜け出せない渦巻きさながらの犯人が仕掛けた罠を象徴しているようでもある。
一方、荒々しくと優しいハートを持った主人公のキャラクターはこのシリーズにしては新鮮かつ魅力的だ。
新たなシリーズの幕開けを十分に予感させる目の覚めるような本作品、怖くて刺激的な映像体験をもって、このコロナ禍の穏やかで平坦な日常をあえてオールリセットするとしたら、まさにもってこいの1本と言えるだろう。
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