寒い冬もようやく、、、と言いたいところだが、まだまだ安定しない4月。
寒暖差も激しく、心身の不調を感じる人も少なくないはず。
ところで皆さんは、「冬バテ」という言葉を知っているだろうか?
暑さによるさまざまな不調を指す「夏バテ」は広く知られているが、「冬バテ」は医学的な診断名ではないものの、寒暖差や日照時間の短さ、年末年始の忙しさなどが影響し、自律神経のバランスが崩れることで、心身の不調を感じることがあると考えられている。
冬の体調管理には、適度な運動や体温調整に加え、バランスの良い食事が欠かせない。
まずは「冬バテ」の代表的な症状を紹介するので、当てはまるものがないかチェックしてみよう。
・常に身体に冷えを感じる
・身体がだるい
・食欲不振または食欲過多
・気持ちがすっきりしない
・眠気がとれない
・夜なかなか寝付けない
・下痢・便秘をしやすい
・朝の寝覚めが悪い
・イライラしやすい
どれくらい当てはまるものがあっただろうか?
そして今回は、管理栄養士の佐久間愛子氏が自律神経の働きをサポートするとされる栄養素や、寒い時期におすすめの温かい食事について解説しているのでご紹介しよう。
①免疫サポートに役に立つ「ビタミン D」

ビタミンDは、免疫系の働きをサポートし、体内でのエネルギー代謝を助ける役割をしています。不足すると、体力やエネルギーに影響し、寒さへの対応力が低下する可能性があります。また、ビタミンDは気分調整に関与するセロトニンの分泌にも関わっているため、不足が続くと、気分が落ち込みやすくなり、冬季うつの症状が出やすくなる可能性があります。
ビタミンDは、鮭やイワシ、卵、きのこ類などの食品に含まれています。また、紫外線を浴びることでビタミンDの合成をサポートする食品(干ししいたけや乾燥きくらげなど)もありますので、干物を選ぶ際は「天日干し」のものを選ぶことをおすすめします。ビタミンDの約8割は太陽光を浴びることによって体内で合成され、残りの2割は食事から摂取されます。これからの季節、紫外線対策をされる方も多いかと思いますが、完全に日光を遮るのではなく、手のひらを太陽光に数分間当てるなどし、適度に日光を浴びることを心がけましょう。
②三大栄養素、全ての代謝をサポートする「ビタミンB群」
ビタミンB群は三大栄養素(エネルギー産生栄養素)である「糖質」「脂質」「タンパク質」の代謝に必要です。三大栄養素は、私たちが生活するうえで欠かせないもので、人間の骨や筋肉、臓器、血管などを作ったり、脳や身体を動かすエネルギーになったりします。そんなビタミンB群は、種類毎に異なる働きをしているため、満遍なく摂取することが大切です。そのなかでも特におすすめのビタミンが「ビタミン B1」「ビタミン B2」「ビタミン B6」「ナイアシン」になります。
■特におすすめのビタミンB群は?
・ビタミンB1
三大栄養素の中でも特にエネルギー源として使われやすい「糖質」からエネルギーを作りだす際に不可欠な微量栄養素です。不足することで糖質からエネルギーを効率よく作り出せなくなり、エネルギー不足で疲れやすくなります。忙しい方はもちろん、甘いものやアルコールを多く摂る方はビタミンB1の必要量が多くなるため、意識して摂れると良いですね。
ビタミンB1は、豚の赤身肉や、魚介類ではうなぎなどの動物性食品と、穀物や豆などの植物性食品に多く含まれています。玄米、胚芽米、全粒粉パンなど胚芽の部分にも多く含まれているため、精製されていない食材を選ぶのもポイントです。
・ビタミンB2
ビタミンB2は、糖質、脂質、タンパク質の代謝全てに関与していますが、主に脂質の代謝をサポートし、皮膚や粘膜、爪、髪などを健やかに保つ働きがあります。
しかし、ビタミンB2はストレスに弱く、ハードワークや夜更かし、体力を使いすぎるとその消費量が増加します。そのため、ストレスを感じているときやハードワークが続く時には、意識的に摂取することが大切な栄養素です。ビタミンB2はレバーやうなぎ、肉、魚、アーモンドなど幅広い食材に豊富に含まれます。しかし、光やアルカリに分解されやすい性質を持っているので、調理前の食材は冷暗所など光が当たらない場所に保管することをおすすめします。
・ビタミンB6
ビタミン B6 はビタミン B2 と同じく、三大栄養素全ての代謝に関わっていますが、中でもタンパク質の代謝に大きく関わっています。タンパク質は肉や魚、大豆などに多く含まれる成分で、筋肉を作ったり免疫力を維持したりと、健康管理に欠かせない栄養素です。
ビタミンB6は、牛、豚、鶏肉、レバーや、マグロをはじめとした魚の赤身、ひまわりの種やピーナッツなどの種実類に多く含まれます。動物性食品、植物性食品にかかわらず、多くの食材から摂取することができますが、水に溶けやすく、光に弱いため、冷凍食品や加工食品で取り入れると作用は減少してしまいます。
・ナイアシン
ナイアシンは、500種類以上の酵素の補酵素として、エネルギー産生やアルコールの代謝など、さまざまな重要な機能に関わっています。また、ナイアシンは「幸せホルモン」として知られるセロトニンの産生にも間接的に関与しています。また、感情のバランスを調整し、精神的な安定を保つ神経伝達物質で、アミノ酸のトリプトファンから作られます。しかし、ナイアシンが不足すると、トリプトファンはセロトニンの生成に使われるため、十分なセロトニンを作ることが難しくなります。
そのため、ナイアシンを意識的に摂取することが、精神的な安定を保つためにも重要です。
そんなナイアシンは、鶏肉やカツオ、たらこなどの魚類、キノコ類など多くの食材に含まれ比較的摂取しやすい栄養素です。熱に強いので加熱調理してもほとんど壊れない一方、水には溶け出しやすいので煮汁ごと食べられる調理がおすすめです。
③エネルギー生産に関わる「マグネシウム」

マグネシウムは、筋肉の収縮や血管の拡張に関与する重要な栄養素です。また、運動による酸化ダメージや酸化ストレスにも欠かせない役割を果たしています。さらに、マグネシウムは免疫機能の正常な働きにも関与しており、エネルギー代謝をサポートするため、身体の健康維持にとって非常に重要な栄養素です。
主にごまやアーモンドなど種実類、豆類、大豆加工食品に多く含有されています。カルシウムを多く摂りすぎると、マグネシウムの排泄が増えてしまうので、マグネシウムとカルシウムは1:2の比率で摂り入れるのが望ましいバランスです。
④全身の代謝を支える「鉄」

鉄は、血液中のヘモグロビンを構成する重要な成分で、全身に酸素を供給する役割を担っています。酸素が適切に供給されないと、体の各部位が正常に機能しなくなり、最終的に自律神経のバランスにも影響を及ぼす可能性があります。そのため、鉄分が不足すると、疲労感や集中力の低下、さらには自律神経の乱れを引き起こす可能性があります。
また、鉄には動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄と非ヘム鉄は吸収のされ方や体内での利用方法が異なるため、それぞれの特性を理解して、適切に摂取することが重要です。
<ヘム鉄>レバーや赤肉、赤身の魚など、動物性食品に多く含まれる鉄分です。体内に吸収されるのは約10~20%のため、毎日こまめに摂ることが大切です。
<非ヘム鉄>野菜や豆乳、穀物、海藻、卵などに多く含まれます。
非ヘム鉄の吸収率は2~5%程と、動物性食品に含まれるヘム鉄に比べて吸収されにくいですが、鉄不足の時は、吸収が高まるとされています。
また、オレンジやキウイフルーツ、イチゴなどの果物や、パプリカ、ブロッコリーといった野菜などビタミンCを含む食品と一緒に摂ることで、吸収されやすくなることがあります。
まとめ:冬バテ予防にはあったかい味噌汁と雑穀米
今回紹介した3種を含め、栄養素を満遍なく摂取する為にはごはんやパンなどの主食に加え、肉や魚などのおかず、野菜類の小鉢が1~2品あると良いですが、忙しい時に全てを揃えるのは難しいですよね。
そこでおすすめしたいのが冷えた朝に体が温まる味噌汁です。味噌汁には内臓が温まり消化・吸収を良くするだけでなく、抗ストレス・リラックス作用が報告されているGABAも含まれています。
さらに、今回紹介した栄養素が含まれている小松菜や豆腐、海藻類やきのこなどをふんだんにいれることで、忙しい朝でも少ない品数で必要な栄養素が摂取できます。
また、主食にはビタミンB群補給のために玄米といった雑穀米がおすすめです。
朝ご飯でお米を食べると胃腸が重くなるため難しい、という場合は、じゃがいもを味噌汁に加えてみてください。鉄の吸収に役立つビタミンCも摂れます。1品で朝食が済むのも嬉しいポイントですね。
その他にも、『大塚製薬 栄養素カレッジ』では日本のこれからの健康と栄養素についての正しい知識づくりをサポートする知識が学べるので、ぜひこちらも見てみよう!
■『大塚製薬 栄養素カレッジ』:https://www.otsuka.co.jp/college/