【レビュー】伝説の文豪ロマン・ガリの自伝が映像化『母との約束、250通の手紙』―手紙が紡ぐ母と子のキズナ

母との約束、250通の手紙




本作は、フランスの天才作家ロマン・ガリが自身と母との関係を綴った自伝の映画化。

幼い息子に対して大きな期待を寄せて、それを周囲に公言するほどに我が道を行くシングルマザーの母ニーナ役にシャルロット・ゲンズブール、過剰な母からの期待に時に反発しながらも何とかそれに応えようとする健気な息子ロマンをピエール・ニネが演じる。

フランスが世界に誇る女優と若手俳優のアンサンブルは、貧しい家の中や市場の人混みやニースの街や戦地と舞台を変えながら、母と子の関係性がもたらす普遍的な感動へと見る者を連れて行く。

「男が闘うべき理由は3つだけ。女、名誉、フランスよ。」と、まだ小さな息子に対して強く言い放つ母の確信と眼差しの強さがいつまでも印象に残った。

息子の成功を世界中の誰よりも信じ抜いてる母親は、ただ信じるだけではなく、全てを投げ打って母親なりにその成功への道を整えようとする。

貧しい生活を抜け出すためにはなりふり構わず、息子の恋愛に満足がいかなければ平気で相手の女も追い払う母。

モンスターすぎるほどのエネルギーと信念を持った母親が、それでも次第に老いていき、戦地に赴いた息子のために送り続けた250通の手紙。

その手紙に隠された秘密とは・・・?

母親は子を産んだ後も実はへその緒で子と繋がっていて、それは母親が死んだ後も切れることはないのかもしれない。

 

『母との約束、250通の手紙』 あらすじ

破天荒でパワフルなシングルマザーのニーナは、息子のロマンが将来フランス軍で活躍し勲章を受け大使となり、作家としても成功すると頑なに信じ、その才能を引き出すことに命を賭けていた。母の強すぎる期待と愛情を一心に受けて育ったロマンは、母の途方もない夢を叶えると幼心に決める。自由フランス軍に身を投じ病に倒れ生死の境目を漂うロマンの下へも、激励の手紙を送り続けた。ついにロマンはパイロットとして活躍し、同時に念願の小説が出版されることに。しかし相変わらず届き続けるニーナの手紙には、なぜか息子の作家デビューを喜ぶ様子はなく――。

■監督・脚本:エリック・バルビエ
■共同脚本:マリー・エイナール
■出演:ピエール・ニネ シャルロット・ゲンズブール ディディエ・ブルドン 他
■原作:ロマン・ガリ『夜明けの約束』(共和国)
■配給:松竹

公式サイト:https://250letters.jp