9月28日(土)に都内で行われた映画『宮本から君へ』の舞台挨拶に、池松壮亮、蒼井優、一ノ瀬ワタル、真利子哲也監督、原作の新井英樹、そして主題歌を務めた宮本浩次がサプライズ登壇した。
作品観賞後、おそらく主人公・宮本の熱さが伝線したであろう会場に、大きな拍手で迎えられた主演の池松は、「今日こうして大好きな人たちと並んで立てて、ここには来ていないけどこの映画に関わった人たちの思いを持って初日を迎えられたことを誇りに思います」と挨拶。
蒼井も「こんなにご覧になった方の前に立つのが照れくさいなと思う舞台挨拶は初めてです。映画化したいという話が出てから7年くらい経っていますが、こうして公開を迎えられて感慨深いです」とにっこり。
“本作はこれまで関わった作品の中で『初めて〇〇だった」といえるエピソードがあるか?”という○×トークが展開されると、なんと全員が「○」と回答!
蒼井は、「初めて週休6日で撮影したいと思った現場だった」といい、「基本的に馬車馬のように働いた方がノリやすいというか、パンチドランカー的に撮影が進んだ方が好きなんですけど、今回は3日目で普段映画の撮影で使う体力や気力を使い切ってしまったような感覚があって…でもなんとかスタッフの方ともお互いを鼓舞しながら乗り越えました」と本作でみせた熱演の裏側にある過酷さを物語るエピソードを披露した。
池松は、「こんなに一作品で『俺』って主語を使った作品はないです。このご時世、こんなに『俺』って言うの、宮本かローランドさんくらいですよね」と「俺か、俺以外か」の言葉で有名なホストのローランドを引き合いに出し、会場の笑いを誘う。
本作で宮本の最大の宿敵・拓馬を演じた一ノ瀬は、「普段の食事は1日でケーキ1ホール、生卵1日30個はマスト。そしてその間に野菜は食べないで、野菜を食べる余裕があるならとにかく糖分や脂質を摂取した。」と、2ヶ月で33kgという驚愕の増量をしていたことを明かすと、会場からは一ノ瀬に賞賛の拍手があがった。
そしてここで、登壇者にもサプライズで本作の主題歌を担当した宮本浩次が赤い薔薇の花束をもって登場。これに池松は、「とても驚いています、見えないと思うけど鳥肌が…この主題歌が映画のレベルをものすごくあげてくださったと思っていますし、感謝しかないんですけど、とても嬉しいです」とコメント。まさかのサプライズゲスト登場に登壇者一同驚きと喜びの様子だった。
宮本は主題歌について、「『宮本から君へ』の映画化へのお話を伺っていると、全身からこの作品を最高のものにしたいという思いがみなぎっていたんですよね。だから監督と会ってすぐにメロディーが聞こえてきたし、池松さんと蒼井さんという明快な方向性もあったので、みんなの顔を思い浮かべながらこの曲を作りました」と『Do you remember?』誕生の裏話を語った。
最後に池松が、「昨日時間があったのでドラマからの二年半を振り返っていました。当時の台本を久々に開いてみたら、もう池松壮亮の人生とか宮本浩の人生とかどうでもいい、と。突っ切った先に、振り向いた時に宮本が浮かび上がればいい、と。そうじゃないと宮本に敵わないと思っていたんだなと、混沌の中の光をつかもうとしていたんだろうなと思って。」としみじみ。
さらに、「今日からは誰のものでもなくて見てくださったかたのものだと思います。煮るなり焼くなり、好きにしてもらっていいですが、新しい時代を強く生きていかなければ、ということを宮本なら言ってくれるじゃないかと信じています」と熱い気持ちを語り、舞台挨拶は幕を閉じた。