【レビュー】毎日が他人の結婚式!タイムループ・ラブコメディー『パーム・スプリングス』




数あるループもの作品の中に、遊び心満載のアトラクションのような楽しい1作が加わった。

妹の結婚式に出席するために砂漠のリゾート地、パーム・スプリングスを訪れた姉サラ。

彼女は結婚式で風変わりな青年ナイルズと出会ったことがきっかけで同じ1日が延々と繰り返すタイムループにはまってしまう。

ループもの作品の名作『恋はデジャ・ブ』よりもコメディ要素はやや多め、それ以上に異なるのはタイムループにはまっている人間が1人ではなく複数人であるということだ。

もともと結婚式の参列者にすぎないサラとナイルズが「自分たちさえ楽しければいいや」と言わんばかりに同じ毎日を気ままに過ごし恋を謳歌する姿も楽しいが、やはりそこはループもの作品のお決まりというべきか、無限ループからどうやって抜け出すか試行錯誤し、他人も巻き込みながら奮闘する様子も見応えたっぷりだ。

結婚式が開催される日は特に新郎新婦や親族・関係者にとっては特別な1日だ。

いろんな人間関係や想いが凝縮された非日常の1日と言っていいかもしれない。

しかもこの映画での結婚式の舞台はカルフォニアの砂漠リゾートというまさに非日常の楽園だ。

そんな場所を舞台にした結婚式の1日が延々とループすることこそがこの映画の全ての楽しさの源かもしれない。

どんなに非日常の1日でもそれが延々と毎日繰り返されれば当然に「日常」になってしまう。

新郎新婦や他の列席者たちとの温度差は自ずと前にも増して広がっていく。

主人公たちの滑稽な言動の1つ1つの面白さや共感性は映画の設定上の説得力に支えられている。

あなたも出席した結婚式で不可解すぎる行動をする人間や妙に完璧なスピーチを披露する人間を見たとしたら、彼や彼女はその日が初めてじゃないかもしれない。

 

『パーム・スプリングス』

■監督:マックス・バーバコウ
■出演:アンディ・サムバーグ、クリスティン・ミリオティ、ピーター・ギャラガー 他
■配給:プレシディオ

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毘沙門天 華男
映画、旅、ボクシング、読書、絵を描くこと、サウナ、酒が趣味の福岡出身の多動性中年。このプロフィールを書いてる途中もドラクエウォークをしています。