【レビュー】台湾から凄まじい量の血飛沫が届けられた―『哭悲 THE SADNESS』




謎のウイルスに感染して多くの人間がゾンビのように凶暴になっていく。

そんな映画はこれまで何度も見る機会があったけど、この映画は血飛沫の量が段違いだ。

残虐な描写が圧倒的にエグい。

映倫区分R18+も納得の振り切れ具合となっている。

監督を務めたのは本作が長編デビューとなる台湾のロブ・ジャバズ

物語の舞台も台湾だ。

もともと人間が皆深い欲望を抱えてて、ウイルスがその理性を解除するという設定はよく考えるとなかなかに説得力がある。

容赦なく暴力的な衝動を全開にする人間たちを見ていると、性善説や性悪説について少し考えてしまうほど。

ゾンビ的な存在と化した人間が◯欲を丸出しにするというのもこの手の映画でこれまで観た記憶がない。

監督はタブーを完全に無視する覚悟だ。

試しに予告編を観てほしい。

コメディとか感動とかに安易に流れずに真正面から残虐さを描こうとする監督のスタンスが即座に理解できるかと思う。

そしてもちろん本編の内容ははもっと度を越している。

真剣に友人にこの映画を勧めると人間性を疑われるような気もするが、レビューを書いてる時点で不特定多数人に暗に勧めているわけでもあり。

本音を言えば、自分の体験も誰かにも味わってほしいみたいなところもあり、このような気持ちは何願望と名付ければいいのだろう。

とにかくこの映画の本気度は近年類を見ない。

決して後戻りする気のない残酷描写。

狂犬病とか、バイオハザードとか、ウォーキングデッドとか、全てが緩く感じてしまうほどのガチガチの狂気と邪悪さ。

そんなハイレベルの怖いもの見たさにどこか飢えている人なんかは是非映画館へ。

 

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毘沙門天 華男
映画、旅、ボクシング、読書、絵を描くこと、サウナ、酒が趣味の福岡出身の多動性中年。このプロフィールを書いてる途中もドラクエウォークをしています。