【レビュー】喪失と復讐が駆り立てる息もつかせぬ追走劇―ブライアン・デ・パルマ監督




『スカーフェイス』『アンタッチャブル』『ミッション:インポッシブル』等の作品で知られる巨匠ブライアン・デ・パルマ監督。

彼が8年ぶりに放つ新作は、1つの殺人事件の発生を契機に国際的テロ組織のメンバーを追うことになった刑事を主人公としたサスペンスだ。

世界を席巻したドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』でジェイミー役を演じたニコライ・コスター=ワルドーが主役の刑事を好演、同じくメリサンドル役を演じたカリス・ファン・ハウテンらが同僚刑事役としてその脇を固める。

物語は昨今の無慈悲なテロ事件の実情や手法を切り取りつつ、被害者である一個人の癒せない大きな傷にもしっかりと焦点を当てている。

デパルマ監督お得意の緊張感みなぎるアクションも今なお健在、ハラハラ息をのむ展開が要所で楽しめる贅沢な演出だ。

同僚の死、テロ組織による処刑、警察、テロリスト、謎の第三者がそれぞれ相互に絡み合う関係性の中、喪失を出発点として数奇に交錯しながら倒れ行くその復讐のドミノの先には、何が待ち受けるのか?

 

ドミノ 復讐の咆哮』あらすじ

デンマーク・コペンハーゲンの刑事クリスチャン(ニコライ・コスター=ワルドー)とラース(ソーレン・マリン)は、市内パトロール中にある殺人事件に遭遇。クリスチャンは、殺人犯タルジ(エリック・エブアニー)を取り押さたが、隙を衝かれた際に同僚ラースが重傷を負う。さらには謎の男たちにタルジを連れ去られてしまう。拳銃の不携帯というミスでラースを危険に晒したクリスチャンだったが、自身への失望と怒りから、上司からの謹慎処分を無視、同僚の女刑事アレックス(カリス・ファン・ハウテン)と共に元特殊部隊員の過去を持つタルジを追う。その頃、米国CIAの男・ジョー(ガイ・ピアース)らに拉致されたタルジは、家族の命と引き換えに、ある危険なミッションを命じられていた

■監督:ブライアン・デ・パルマ
■製作:タラ・モーロス
■脚本:ベッター・スカヴラン
■出演:ブライアン・デ・パルマ,ドミノ復讐の咆哮,レビュー,ニコライ・コスター=ワルドー、カリス・ファン・ハウテン、ガイ・ピアース ほか

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