1941年にリヒテンシュタインシャーンで創業したヒルティグループ。後に120カ国に広がり日本ヒルティが日本にも創設された。
そんなグローバル企業であるヒルティは商品を生み出す中で2つのポイントに重点を置いている。
1つは「イノベーション」として、建設期間の短縮など建設業界の生産性の向上や品質にこだわった工具。
そして2つ目は「ダイバーシティ」。
工事など作業現場でのワーカーが減少していることもあり、誰が使用しても施工できるようなつくりを目指している。
また、サービスとしては建設工具の販売に留まらず、ソフトウェアの提供や工具の資産管理、アフターサービスの提供も行っている。
そんな日本ヒルティ株式会社の中でも画期的なアイテムが今回、紹介する次世代型の建設工具『NURON』。
日本はアメリカ、中国についで3番目の建設市場となっていて、建設工具の需要も多い。工具はまだコード式が主流で、大きなものは電源、もしくはガソリンが必要となる。
しかし、現場によっては電源が取れないこともあるのが課題の一つになっている。
また、仮にコードレスの工具を使用しているとしても、複数の会社の建設工具を所有すると、14ボルト、32ボルト、56ボルトと電圧が異なることが多い。
異なる電圧の工具が現場で混在していると、どの製品がどのバッテリーが必要なのか一つ一つ、確認が必要となるのだ。
都度、適合するバッテリーや充電器を探したりと建設現場において生産性が落ちる原因となっている。
そこで開発された『NURON』はコードレスで、22Vシングルプラットフォームを採用。
40種類の全ての工具が22Vのバッテリーで使用可能となるのだ。
22Vのバッテリーは大きさと容量が異なる5種類が用意されていて、自分で使用したいバッテリーをカスタマイズできるのもポイントとなる。
もちろん大きいバッテリーの方が長時間使用可能。
しかし小さいバッテリーは軽いので作業によっては利点にもなる。
このように、強力なパワーを出すには大きな電圧が必要というイメージがあったが、22Vの電圧で大きな製品群も動かせる工具を実現させたのが『NURON』だ。
他社製品に比べて22Vと低い電圧で大型の工具も含めた全商品の稼働を実現させたのはバッテリーのニューテクノロジーのおかげ。
今までバッテリーのインターフェース部分が多少脆弱だったため、セルの持っているパワーを最大限に引き出せていなかった。
しかし、このバネ構造と太い巻線の銅線ケーブルにより、どんな振動がきても全て受け止められるようになった。
そのためセルの最大限の力を使えるようになり、22Vで全40種類の製品を動かせるようになった。
また工具は安全性にも考慮されている。
例えば、グリップの黒い部分にセンサーを搭載し、手が離れた時に自動で電源が止まってくれるようになっている工具もある。
これにより、思わず落としてしまった時に危ない工具も自分や他人を傷つけるリスクが低くなるのだ。
更に生産性として工具の場所の確認も重要となってくる。
例えば、最後に工具をどこに置いたのか忘れてしまって見当たらなかったり、他の社員が必要な工具を使用していて、どの現場にあるのか分からず作業が進まないなど生産性が下がることも発生している。
そんな時に便利なのが『NURON』のデータドリブンサービスだ。
これはバッテリーにメモリーを、充電器にSIMを搭載したデータサービス。工具を充電した際にデータを吸い上げてくれ、使った場所を記録してくれるようになっている。
そのため、最後にどこで充電したか、現在どこで使用されているかなど工具の場所などが分かる。
これにより、工具を置き忘れた時にすぐに発見もでき、会社全体の工具をより効率的に使えるなどのメリットが生まれる。
このように「NURON」はこれまで提供できなかった建設工具の新たな価値を提供。
工事現場の生産性、安全性向上にむけて次世代の建設工具をつくりだしている。
このイノベーションはこれからも建設現場をに大きな影響を与え、支えていくことになるだろう。