『まともじゃないのは君も一緒』の監督・前田弘二と脚本・高田亮が贈る<おかしな二人の物語>第二弾『こいびとのみつけかた』が完成した。コンビニで働く園子(芋生悠)と、彼女に片想いをしているトワ(倉悠貴)は世の中になじめない変わり者だが、二人にしかわからない世界で二人にしか分からなくていい関係を作り出すというラブストーリーだ。上尾園子役の芋生に、『こいびとのみつけかた』の魅力を聞いた。
―今回の『こいびとのみつけかた』ですが、物語の最初の印象はいかがでしたか?
園子とトワ君のふたりの世界が、とても愛おしくてかわいいなと思いました。特にふたりを取り巻くみなさんの温かさというか、ふたりだけがはみ出すのではなく、みんなで守っている感じがとてもいいなと思いました。
―園子というキャラクターについては、どのように理解したのですか?
説明では変わり者となってはいます、わたしは本当に普通の女の子だと思っていました。楽しかったり苦しかったりすることを素直に感じ取り、その感じ取ったものを、創作物を作ってみたり、曲を作ってみたり、表現という形でして、そういうものに昇華して、自分の生き辛さをいろいろなもので武装しながら生きているんです。だから人間らしくて、どこにでもいるような女の子だなと思って演じていました。
―前田弘二監督は、園子についてどのような説明を?
本読みの時は、映画の中の園子とはちょっと違って、彼女が抱えるトラウマなどを強めに出していたのですが、それはありつつも撮影では風や音など、いろいろなものを素直に感じ取ってほしいと言われていました。彼女が楽しければ(本に比べて)もっと楽しいと感じられる人だと思うと言われていました。撮影の時は難しいことは考えず、倉(悠貴)君とお芝居をしている時間は楽しい時間で、素直に感じられるようにしていました。
―今回初共演だったと思いますが、トワ役の倉さんとの共演はいかがでしたか?
倉くんはお互いに役を離れて素に戻っても、自然にお話が出来る方でした。わたしがヘンにスイッチをオンオフ切り替えなくてもよかったので、楽しくストレスも感じず、とてもいい時間を過ごさせていただきました。
―今回の『こいびとのみつけかた』と出会い、また園子を演じて、改めて学びのようなものはありましたか?
園子は葛藤の部分が表にあまり出ないので、撮影中は表になかなか感情を出せなかったりしたんです。そこへ幸せなシーンのほうが多かったので、内側にどんどん積もっていく感じがして。それが新しい感覚でした。分かりやすくみなさんに感情を示すのではなく、自分の心の中に積もっていく感情表現は、これはこれで素敵だなと思ったりしました。
―最後に映画を待っている方にメッセージをお願いいたします。
今東京に暮らしていて都会にはいるものの、全体が閉塞感に包まれているというか、人が何かしていることについて周囲が攻撃したり、他人の目が気になったり、それでがんじがらめになっていくのは嫌だなと思うんです。みんなが宇宙的な考えでいられたら、人は人で自分は自分な気がするので、そういう風にみんなが生きられたらいいなと思うんです。でも、自分が辛かったりする分同じように辛い人がいると思うと、人に優しくなれる。そうであれたらいいなと思っています。
ヘア&メイク: TSUKI
スタイリスト: Yasuka Lee
©JOKER FILMS INC.
10月27日(金)より新宿シネマカリテほか全国ロードショー