【レビュー】大御所アーティストも加わり前作を上回るスケールで歌い踊り上げる感動―『SING/シング:ネクストステージ』




前作『SING /シング』の大ヒットからはや5年、待望の続編は新たなキャラクターも増えてさらにパワーアップした内容で観客を圧倒、魅了する。

場面ごとに披露される名曲の数々を聴くだけでも体を揺らしたくなるほど楽しいのに、キャラクター同士がユーモアたっぷりにぶつかり合いながら進行していくストーリーがとにかく面白い。

かじりつくように見てしまう。

前作で地元シアターの再建に成功したコアラのバスター・ムーンと仲間たちは、今回は世界的なエンタテインメントの中心地レッド・ショア・シティでの新しいショーにチャレンジすることを決心する。

劇場を運営する冷徹なオオカミの経営者にうまく取り入りながらもその横暴ぶりに怯えるバスター。

高いハードルを課された歌やダンスの練習に四苦八苦するメンバーたち。

そんな中、バスターたちは、既に引退して長い伝説のロック歌手を出演させるという奥の手に賭けるが、事態はなかなかスムーズには進まない。。。

生歌が披露される贅沢な場面も多いこの映画、悩みどころは字幕版で観るべきか、吹替版で観るべきか、その選択かもしれない。

オリジナル版は、前作に続いてマシュー・マコノヒー、スカーレット・ヨハンソン、タロン・エガートン、トリー・ケリーといった豪華キャストが声優を務めるが、伝説のロック歌手のライオンのクレイ役を務めるのは何と「U2」のボノだ。

吹替版の声優も前作と同様、内村光良、長澤まさみ、スキマスイッチ大橋卓弥、MISIAらが務めるが、クレイ役に抜擢されたのは声優初挑戦の「B’z」の稲葉浩志だ。

自分は吹替版を観たのだが、特に長澤まさみとB’z稲葉がデュエットするシーンは、そこに至るストーリーも含めて胸が熱くなってしまった。

全編、笑いどころが多くてテンポもいいので全く飽きがこない。

愛すべきキャラクターそれぞれに違った見せ場があるのも作品のお祭り感を高めている。

キャラクターが自分なりの壁にぶつかりながら、それを自分や仲間を信じて乗り越えようとする様子が、歌やダンスのエネルギー/魅力と見事にシンクロする。

そこにはスポ根要素の興奮もあるが、それよりは「表現行為って最高だなー」と心躍る感じに近い。

特に終盤からの怒涛の展開とラストのカタルシスは、ほろ苦さや心温まる部分も含めて、前作を超えるスケール感で心を揺さぶられた。

「世界は戦争や病気で不幸なことばかり!とにかく今は音楽とダンスに身を任せて問答無用の大きな感動にダイブしたいんだ!」といった気分のそこのあなた。

そんな気分をそのまま汲んだように、映画館を出る時にみなぎる元気を与えてくれるのは、この映画しかない。

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