こんなホラー映画を待ち望んでいた。
そんな目の覚めるような衝撃作を送り出してくれたのは、現代ホラー映画界の巨匠とも言えるジェームズ・ワン監督。
2004年に公開された低予算ホラー『SAW』が世界中を熱狂させ、その後シリーズ化。
『死霊館』シリーズとともに広い人気を博すと、ワン監督は瞬く間にヒットメイカーの地位に上りつめた。
その後、『ワイルド・スピード SKY MISSION』『アクアマン』と大作映画を手掛けるなどしていた監督だったが、ここに来て「ジェームズ・ワン以外の誰にも作れないホラー作品」をついに完成させた。
そう自信を持って言えるほど、本作は見事にワン監督の作家性、新規性が爆発している。
主人公の女性は、ある時から、正体不明の殺人鬼による凄惨な殺人現場に自分が居合わせるといった悪夢を立て続けに見るようになる。
しかし、それは単なる夢ではなく、実際に発生した殺人事件だった。
殺人鬼の正体とは? 彼女が悪夢に苛まれる理由とは?
彼女と家族と警察は、事件の真相と彼女の隠された過去に迫る。
ホラー好きの自分としても、序盤から謎解きの予想をしながら観進めていったのだが、予想は見事に裏切られる。
そして、「これは一体何を見せられているんだ」状態のまま、物語は急展開してテンポは急加速する。
そのホラー映画を超越したスピード感とアクションは、「ワン監督が大作を手がけたのは本作でこんな描写をするためだったのか」と後から(身勝手な)解釈すらしてしまいそうなほど。
恐怖と興奮がこれほど見事に同時に湧き上がってくる経験も珍しい。
とにかく、従来のホラーにはない設定と展開に観る者は面食らうだろう。
まるで後頭部を殴られるような衝撃は、おそらくは『SAW』以来のサプライズだ。
その映像の衝撃は、受け止めることができてもすぐには頭と心が整理することができない。
その驚くべき展開は、観終わった後にきっと誰かと話したくなる。
ワン監督は、ホラー映画の金脈を掘り当てたと言ってもいい。
いや、金脈が長い間ずっと眠っていたのはワン監督の頭の中なのかもしれない。
そして、自らの内に金脈を発見して覚醒してしまったホラー界の巨匠は、誰にも止められない。
ジャンルを超越した新感覚ホラーの傑作は、驚きと興奮を求める全ての人を映画館で待っている。
『マリグナント 狂暴な悪夢』
■出演:アナベル・ウォーリス
■製作/監督/原案:ジェームズ・ワン
■配給:ワーナー・ブラザース映画
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