【インタビュー】秦 基博、自身の曲から生まれた映画『イカロス 片羽の街』は、「3本の映画を通して見えてくる景色を楽しんでもらえたら」




秦 基博の新曲「イカロス」にインスピレーションを受け制作された3本の作品を束ねた映画、『イカロス 片羽の街』がU-NEXTにて現在独占配信中だ。児山 隆監督の「トイレのハナコ」、枝 優花監督の「豚知気人生」、中川 龍太郎監督の「十年と永遠」。さまざまな形の喪失と再生を描く本作について、秦本人に話を聞いた。

―楽曲「イカロス」からインスピレーションを受けた喪失と再生を描く物語を、3人の映画監督が完全オリジナル脚本によって映画化するという、かなり特別なプロジェクトになりましたね。

今回の映画『イカロス 片羽の街』については、ひとつの「イカロス」という楽曲の世界から、これだけ違う物語が生まれてくるということにまず驚きました。たとえば普段はまず映画があって、それのために曲を書かせていただくということが多いのですが、こうして自分の曲を起点に新たな物語が生まれるということもすごく刺激的でした。

―しかもまったく異なる3作品に結実していくという展開でした。

まったく違う物語が生まれたことへの感動はありますよね。自分自身が曲を作る上で抱いていた景色が、きっと根底では(監督たちと)リンクしているとは思うのですが、そこに現れてくる世界がこういう風に変わってくるのかと思いましたし、今回映画にしてくださったことで僕自身もアウトプットされたカタチで観ることができました。普段音楽を聴いてくださっている方も、曲を受け止めてイメージしているものは千差万別だから、それぞれあると思うんです。そういうことをより強く感じました。

―それらをご覧になった感想はいかがでしょうか?

その場面が浮かび、描かけることが僕からすると今でも不思議です(笑)。たとえば児山隆監督が撮られた「トイレのハナコ」にはラブホテルの窓が印象的に切り取られているシーンが出てくるのですが、あの1枚絵としてカタチになっていることが、すごいなって。僕はそう受け取ったのですが、そういう物語の中にある切り取られた景色の数々には、グッと来るものがありましたね。

―2月1日に配信リリースされた「イカロス」のテーマは“喪失”となっていますが、どのように生み出されたのでしょうか?

僕はサウンドから楽曲を作ることが多いので、言語化された何かから作りはじめたわけではないんです。作り出したのが一昨年の下半期で生まれた曲なんですけど、その時にやりたい音楽を追求したら「イカロス」になりました。それがどういう言葉、どういう歌なのか、より自分の中で明確にしていった時に、最終的にテーマが喪失になったんです。

―最初に音があって、歌詞の言葉を紡いでいくのですね。

そうですね。ほとんどそういう作り方です。ただ、メロディーやサウンドがある時点で、言葉になっていない言葉がそこにあると思うんです。なので、それを探していくような感覚ですね。いろいろなパターンがありますが、「イカロス」に関しては、わりとメロディーなどができていて、どういう歌詞を書こうかなという段階で喪失は決まっていました。メロディーが持っている響きなどもあり、自然とテーマが喪失になった、という感じですね。

―今の時代も背景にあるのでしょうか?

明確に今の時代をテーマにしたということではないのですが、その時々の暮らし、日々の感じは自然と出てくると思うんですよね。僕自身が2021~2022年で感じたものが、歌詞として表出した、こぼれた出た感じはありました。

―今回のプロジェクトでの経験を経て、今後音楽の創作活動で目指すものはありますか?

すべての始まりはやりたいことをやる、なんです。自分がやってみたい、作ってみたいなという曲だったり、歌を作るということがすべての始まりで、それでその先に聴き手のイメージを想起できるものがあればいい、という順番なんです。僕自身は、今やりたい感じをやるしかないですね。

―最後になりますが、作品を観る方へメッセージをお願いいたします。

自分の「イカロス」という曲から、これだけ多様な物語が生まれてきてくれたことは、まずすごく自分もうれしいですし、その作品たち、3本の映画を通して見えてくる別の景色もあると思うんです。またそこで新たに観てくださる方の中に芽生えてくる感情、景色もあると思うので、そういうものを楽しんでもらえたらうれしいなと想います。

映画『イカロス 片羽の街』
秦 基博「イカロス」からインスピレーションを受けた喪失と再生を描く物語を3人の映画監督の完全オリジナル脚本によって映画化。秦 基博の出身地でもある横浜を舞台に、様々な形の喪失と再生を描く。

「トイレのハナコ」監督:児山 隆


県内でも有数の進学校である女子高に通っている主人公の季美は、学校での成績、家庭内の不和など、ありきたりだが重大な思春期の悩みに押しつぶされそうになっていた。そんな日常から逃げ出すようにたどり着いた横浜の街で家出少女ハナコと出会う―。偶然出会った二人の刹那的な青春の物語。

「豚知気人生」監督:枝 優花


自由奔放、常に家族を振りまわした挙句、突然死んだ父。そんな父を忘れられず霊媒師に頼り、躁鬱を繰り返す母。家族をぶっ壊した父を恨みながら、学校をサボり続ける息子・ツキ。ツキの唯一の友達は河原のホームレスだった。そんなある日、ホームレスからプレゼントされた豚のぬいぐるみに、父が転生してきて…

「十年と永遠」監督:中川 龍太郎


数学教師の純葉に淡い恋心を寄せる生徒・中里。解答用紙の裏に詩を綴ったり詩集を渡すなどして、想いを伝える。しかし純葉の心には十年前に亡くなった恋人の存在があった。中里の存在によって純葉の心は動き出すのか…?

制作:レプロエンタテインメント、ブリッジヘッド

U-NEXT 秦 基博特集ページ:https://video.unext.jp/browse/feature/FET0010807
秦 基博 OFFICIAL WEB SITE:http://www.office-augusta.com/hata/
秦 基博 OFFICIAL Twitter:https://twitter.com/hata_official
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(C) 2023「イカロス 片羽の街」フィルムパートナーズ