【インタビュー】若手注目株・志田彩良、「謙虚の気持ちを絶対に忘れない人でありたい」




TBS日曜劇場「ドラゴン桜」(21)出演で一躍注目を集め俳優の志田彩良が、恋愛映画の旗手・今泉力哉監督が描く現代の父と娘、そして家族の姿を描く映画『かそけきサンカヨウ』に出演した。一見大人びて見えても複雑な心境を持つ主人公の少女を、シーンごとに丁寧に演じ上げている。幼い頃に母と別れ、早くに大人にならざるを得なかった少女・陽の成長を志田はどう理解して、表現に変えたのか。本人に話を聞いた。

―国木田陽という女性は、どう理解して演じていたのでしょうか?

どうすれば陽の役柄を私らしく表現できるかを考えた時に、今回の陽のキャラクターに関しては、あえて深く考えないほうが繊細さを表現できるのではないかなと思いました。父との関係性は事前に考えていたのですが、あとは現場で私が感じたままを言葉にしようと思っていました。

―今泉力哉監督の演出を含め、一緒に仕事をした感想はいかがですか?

今泉監督とは『パンとバスと2度目のハツコイ』(18)という作品でご一緒したのですが、その時は撮影現場でわたしのほうから質問や提案をしたり、お芝居についてお話をする時間が多かった印象があるのですが、今回は撮影現場で監督とほとんど話をした記憶がありません。

―初めてではないですからね。培った信頼関係がありますよね。

今までドラマやMVや舞台などを合わせると、今作でご一緒するのは6度目になります。わたしは今泉監督をとても尊敬しているので、現場で今泉さんがOKを出したのであれば絶対大丈夫だろうという確信があったので、安心して撮影に臨むことができました。

―そういうクリエイティブなリレーションシップは、俳優にとっても作品にとってもプラスになりそうですよね。

本当に貴重なことだと思います。今泉監督と何回もご一緒できることは感謝していますし、わたし自身、今泉監督の現場がとても好きです。6度もご一緒させていただいておきながらおこがましいのですが(笑)、何度でも今泉さんとはご一緒したいなと思っています。またご一緒できるよう、日々頑張ります

―また本作では、井浦新さん、石田ひかりさんという大先輩たちとも共演されていますが、刺激を受ける瞬間はありましたか?

もちろんあります。今作で、陽と陸が個展に行、そこで初めて石田ひかりさんが実の母として陽と顔を合わすのですが、陽にまったく気づかないシーンがあります。石田さんは実は自分が産んだ子に母親が気づかないことがあるのだろうかと仰っていて、その姿がとても印象に残っています。お母さんとしても、役者さんとしても素敵だなと、その瞬間は思いました。

―ところで撮影がないオフの時など、日常での努力みたいなものは何かしていますか?

当たり前のことですが、作品をたくさん観ることです。他の役者の方々から吸収することがとても大事なことだと思っていて、今の私の演技の幅は、まだ未完成ということもあので、視野を広げるという意味でも色んな作品を観ています。この表情いいなと思ったら、鏡をみて真似してみたり。

―最近感動した作品はありますか?

『リバーズ・エッジ』(18)という映画です。行定勲監督の中での特に好きな映画です。二階堂ふみさんのお芝居が何というのか言葉に表せないぐらい素敵なのです。日常生活において、無意識に二階堂さんの表情を真似してしまいます。

―洋画はいかがですか?

『チョコレートドーナツ』(12)が好きです。愛があれば形など関係ないんだなと思って、少し今回の『かそけきサンカヨウ』に似ている、通じるものがあるなと思いました。とても好きな作品です。

―今年は大ヒット作品に出られ、充実の一年だと思いますが、現状をどう受け止めていますか?

わたしは今までお会いした監督・作品・事務所の方々など、本当に出会いに恵まれていると思います。「ドラゴン桜」で大きな反響をいただいたのですが、阿部寛さん、長澤まさみさん、共演者のみなさん、そして、「ドラゴン桜」という作品の力だと思っています。今後は、今まで出会った作品に、感謝や恩返しの気持ちを込めて、自分の活動でお返したいです。

―「ドラゴン桜」は大きな反響を集めましたよね。あれだけの作品を経験すると、女優としての成長を感じますか?

「ドラゴン桜」の現場に参加してから、自分の心境の変化を感じることも多く、同世代の活躍されている方々と共演させていただいて、とても貴重な経験をさせて頂ききました。お芝居についてみなさんと話し合うなかで、自分に頭にはない考え方が聞けるので、本当に毎日刺激的な日々を送らせてだいたので、あの日々はこれからの自分の人生にとっても、とても大切な日々だったなと思います。

―その受けた刺激は、お芝居にどういう変化をもたらしそうですか?

お芝居についてしっかり向き合ってきたつもりだったのですが、今まで以上にもっと深くつきつめたくなりました。以前は、自分の考えがあったとしても監督に言わないほうがいいかなと思うことも多かったのですが、「ドラゴン桜」の現場を通じて作品のために思ったことは、しっかり伝えたほうがいいということを実感しました。

―そのポジテッブな想いは、次の作品にいかせていますか?

次の作品に、この経験が絶対にいきていくと思っています。

―今後の目標を教えてください。

まずは役者ではなく人として、あいさつや、礼儀、当たり前のことですが、謙虚の気持ちを絶対に忘れない人でありたいです。ありがとうございますという言葉ひとつで印象が変わったりするので、そういうところを大切にしていける人になりたいと思います。

 

© 2020 映画「かそけきサンカヨウ」製作委員会