【インタビュー】武田梨奈「人生迷子は悪いことではない」 主演映画で考え方に変化、アクション映画への熱い想いも語る




実力派女優・武田梨奈の主演最新作、『ナポレオンと私』が現在公開中だ。武田は自分に自信が持てず、恋も仕事も一歩も前に進めない人生迷子の主人公・春子を、観る者の共感を誘うような等身大の演技力で好演している。2009年に女優デビューした武田は、『ハイキック・ガール!』などで得意のアクションを披露する一方、近年では大人気BSテレ東ドラマ「ワカコ酒」など活躍の場を広げているが、「自分がやりたかった仕事に就いて願いは叶ったけれど、でもそこでもまだ葛藤をしている状態が近いというか、理解ができるんです」と春子に自分を重ね合わす瞬間もあったという。武田本人に話を聞いた。

 

―今回演じられている主人公・春子は、自分に自信が持てず、恋も仕事も1歩も前に進めない人生迷子の女性ですが、共感はしますか?

わたしも悩みが多いほうなので、すごく共感します。友だちとの電話では、仕事・結婚・将来の話をすることも増えてきたので、よくわかるんです。それまで自分に自信もなく、最近ようやく肯定できるようになったほどなんです。劇中で出てくる春子の口癖である「わたしなんか」は、私生活でよく言っていたなあと思います(笑)。

―ある意味、等身大の女性でしたが、演じてみていかがでしたか?

映画に携わる俳優として、こういう役柄をいただけることは本当にうれしいです。お芝居の中で、「頼りなさそうに走って」「運動神経なさそうにやってみて」と言われることがよくあるのですが、それは空手やアクションのイメージがあるからなんですよね。でも、自分の中では普通の女性の一部があると思っているので、等身大の女性を演じることはすごくうれしいです。

―春子を通して、自分の幸せみたいなものは考えましたか?

何が幸せかはわかるのですが、何が正解かは難しいですね。この仕事をしていると、なかなか正解が見つけられないけれど、でもそれだからこそ、お芝居で答えを追求していくことができます。劇中で人生迷子という言葉が出てきますが、それは悪いことではないと思っています。春子を通して、ポジティブに物事を考えられるようになりました。

―前を向いてるからこそ迷いが生まれていることかもしれないですよね。

悩みも自分では大変なことでも、周囲からしたら大したことじゃなかったりすると思うんです。ただ、悩めるということは、そのことや人について丁寧に考えているということなので、それは素敵なことだなと思う。興味がない、無関心が一番辛いこと。なので悩めることをプラスに考えるならば、悪いことではないと今は考えています。

―武田さん自身は、2009年に女優デビューされ10年以上が経ちますが、女優としての意識はどう変わりましたか?

本当にいろいろなことを経験させてもらっています。16か17歳頃、『ハイキック・ガール!』のオーディションを受ける前は、ただの女子高生でした。ずっと映画の世界に入りたかったけれど、オーディションには落ち続けていて、たまたま西(冬彦)監督に見つけていただいたので、運命としか思えないですね。あの作品があり、今があるなという感じです。

―このタイミングで人生について描くこの作品との出会いについては、何か感じるものはありますか?

近い距離で演じることができたなと思うんです。もちろん年齢が近いこともあるのですが、主人公は「自分なんか」と思っているけれど、その意識が近いですね。わたしも映画に関わる仕事がずっとしたいと思っていて、その自分がやりたかった仕事に就いて願いは叶ったけれど、でもそこでもまだ葛藤をしている状態が近いというか、理解ができるんです。

―どういうことでしょう?

わたしもまだ春子と同じなんですよね。映画の世界に入った夢は叶えられたのですが、まだまだたくさん課題もありますし、まだまだ悔しい思いもしている。そういう意味では、葛藤している内容は違うもしれないですが、彼女に共感をしながら感情を一緒に交えてできたなと思いました。

―事情は違うけれども、似たような局面に立たされていると。

それこそ『ハイキック・ガール!』で正式にデビューしましたが、アクション映画で代表作を作りたいという想いは変わりません。その為にトレーニングも続けていますが、日本アクション映画において自分自身が中々実現出来ていない現実に不安や葛藤を抱くことがあったんですよね。

―しかし、その一方で武田さんと言えば「ワカコ酒」のお酒のように、新たな境地を開拓していて業界内外の評価や人気も高いです。

本当にありがたいことだなと思っています。空手・アクション以外の等身大の女性を演じさせていただく機会が本当に増えたので、映画に携わりたい身として、その一部になれてることがすごくうれしいですね。

―Twitterのプロフィールの欄に「代わりのいない人になりたいです」と書かれていると思いますが、そういう人になれそうですか?

あれはTwitterを始めた頃から書いているもので、そういう人になりたいといつも思っているんです(笑)。お仕事を評価していただく声が多い反面、自分ではまだまだだなという感じがしています。ただ、ここ最近ですが、海外から問い合わせをいただくことがすごく増えたんです。そういう意味では、空手を深く掘り下げて世界にフィーチャーできるいい機会になると思っています。今まで海外で仕事をしたいと言っていた目標が、今ものすごく近くまで来ている感じがしています。それを実現したい気持ちがすごく強いので、もっと頑張りたいと思います!

(C) CYBIRD
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