昔からゲームが好きで、暇さえあればゲームをする30代中盤の筆者が、昨今のSTAY HOMEで、いい歳してますますゲーム三昧の日々に・・・。そんな中、何故ゲームってこんなに夢中になれるのか?その理由を自分の過去と照らし合わせて考察してみた。
――ズバリその理由のひとつに、あたらしさがあると思う。
ADV(アドベンチャーゲーム)やRPG(ロールプレイングゲーム)のストーリー。ACT(アクションゲーム)なら爽快感、達成感のあるシステムなど、そのとき感じている楽しさを分解してみるとなにかひとつ、いままでになかった新体験が含まれているはずだ。
インターネットが普及していなかった据え置き機中心時代。インターネットの普及がはじまり、ゲームプレイの幅が広がっていったインターネット進出時代。スマホやVRHMDなどゲーム用のデバイスが急速に増えていっているスマホ出現によるマルチデバイス時代。
大きく3つに分けた時代ごとにゲームが与えた新体験とはなにか。
■据え置き機中心時代
まだ、インターネットが普及していなかったころ、据え置き機で言うとFC(ファミコン)~PS2(プレイステーション2)が主流だった時期ではないだろうか。電子ゲームそのものが新体験だった時期でもあったと思う。
ファイナルファンタジーやドラゴンクエストをはじめとしたコマンド選択型RPG、スーパーマリオブラザーズやスーパードンキーコングのような横スクロールACT、ストリートファイターやグラデウィスなどのアーケードゲームから移植された格闘ゲーム、STG(シューティングゲーム)など……様々なジャンルのゲームが、目まぐるしい速さで次々と登場した。
PS2(プレイステーション2)やGC(ゲームキューブ)、DC(ドリームキャスト)発売されるとゲームの幅はさらに広がり、インターネットを介した遠距離対戦、協力プレイが可能になった。
なかでも特徴的なタイトルはファイナルファンタジーⅪとファンタシースターオンライン。
それ以前にもPCではUO(ウルティマオンライン)などのネットゲームが盛んだったが、高価なPCを用意せずに回線費用やBBユニット(PS2をネットに繋ぐ追加ユニット)を用意するだけで最新のネットゲームが遊べる。というのは当時画期的で、「NPC(ノンプレイヤーキャラクター)ではなく、知らない誰かと遊べるゲーム」は憧れでもあった。
当時はネット回線を持っていない家庭が多く、今のように定額制でもなかったため、新たにネット回線を契約した多くの家庭で別の問題が頻発した。
≪当時の回想 ~据え置き機中心時代のゲームと私~≫
私自身のゲーム体験は、従兄から借りたGB(ゲームボーイ)版のボンバーマンが初めてだったと思う。その後SFC(スーパーファミリーコンピューター)の「ドラゴンクエストⅤ」をプレイしたことが、本格的にゲームにのめり込むきっかけになっていった。
子供時代特有の体感時間の速さも相まって、当時のゲームハードは凄まじいスピードで進歩しているように感じていた。
実際、PS(プレステーション)で発売されたファイナルファンタジーⅦは衝撃的で、キャラクターやフィールドマップが3Dで描写され、さらに視点を自由に動かせる。という今まで経験したことのないプレイ感覚で、一気に夢中にさせられた。
ゲームソフトがCDで動く、そしてセーブデータ用のカードが取り外しできる。というガジェット感も当時は新鮮だった。それまでゲームソフトはカセットで、セーブもカセットへ直接という認識だったので。
今振り返ってみても、2Dから3Dへの転換がはじまったこのときが私のゲーム人生にとって一番印象に残っている新体験だ。
残念ながら当時の我が家にネット回線はなく、プレイするのは今まで通りオフラインゲームばかり。
人面魚と会話するシーマンやキャラクターを声で操作するオペレーターズサイドといった音声操作でプレイするタイトルや、機体をカスタマイズしてミッションを進めるARMORED CORE 2に熱をあげていた。
当時は照準、射撃、移動を同時に行うARMORED COREシリーズは難しすぎる、と言われていた。今でこそ同時操作は珍しくないものになったが、「難しい操作を習得する」という体験にハマっていたのかもしれない。
■インターネット進出時代
定額制プランや高速大容量なADSL回線の登場によって、インターネットが一般に普及していく。据え置き機にもLANケーブル用のポートが標準装備されるようになり、ネット前提のタイトルが増えていった。FPS(Call of duty、Battle Field)や格闘ゲーム(ストリートファイターIV、BLAZBLUE)のオンライン対戦が身近なものになり、現在のeスポーツブームへ繋がっていく事になる。
また、今でいうゲーミングPCを比較的安価に手に入れられるようになり、RO(ラグナロクオンライン)やLineageなどネットゲームの流行と共に普及していった。それに伴いPCがゲームハードとしても認知されはじめ、イースシリーズ、英雄伝説シリーズのようなPC専用タイトルも販売されていた。
≪当時の回想 ~インターネット進出時代のゲームと私~≫
ネットの普及が始まり、我が家にもADSLとPCがやってきた。
念願のネットゲームを掛け持ちして、何千時間とやっていた覚えがある。特に熱中していたタイトルがPSU(ファンタシースターユニバース)で、800時間近くプレイしていた。ネットゲーム熱が落ち着いた頃、PCにもオフラインゲームがあることを知る。ソリティアとかではなく。
ネットショップのセールで目に入ったイース ~フェルガナの誓い~を買ってみると、これがまた面白い。SFC時代の2Dアクションを進化させたようなスピーディな戦闘システムは当時の据え置きタイトルにもあまりなく新鮮だった。当時よく言われていたPCは据え置きタイトルのようなゲームを扱えないというイメージを砕いてくれた作品である。
■スマホ出現によるマルチデバイス時代
スマホ(スマートフォン)の出現によってフィーチャーフォン時代とは比べものにならないゲーム体験が可能になり、スマホならではのタイトルも出現した。Ingress、POKEMON GOをはじめとした位置情報ゲームだ。
デジモンやボクらの太陽のように歩数、太陽光などと連動するゲームは以前からあった。(デジモンは今も新製品が発売されています)
これらのゲームでは、万歩計は手で振ればカウントされ、太陽光に限らず大抵の光を認識していたため、屋外に出ずプレイする余地が残っていた。
スマホ時代にあらわれたこのジャンルは現実の位置情報と連動しているため、遠隔で操作できる機能を除けば現地に移動し探索しなければならない。
位置情報を偽装しないかぎりですが、多くのメーカーでこの行為は禁止されている。
スマホと共に新たなゲームデバイスとしてVRHMDが出現した。
(VR映像コンテンツも多くありますが、今回はゲームに絞る)
ゴーグル状の本体を頭に被るとプレイヤーを中心に360度(180度)のゲーム画面が展開され、更にヘッドトラッキングによって頭の向きと表示画面が連動するこのデバイスは、自分自身がゲーム内に入り込んだような臨場感を得られる。
特にFPS(ファーストパーソンシューティング)でその特徴は活かされ、VR用に移植されたSUPERHOTは根強い人気がある。
当初は動作処理をPCで行うものであったが、今では単体動作が可能なスタンドアローン型VRHMDや、PS4で使用するPSVRが販売されている。
高性能なPCを用意せずとも最新のコンテンツを楽しめるようになったこの状況は、据え置き機でネットゲームを楽しめるようになった時期と重なるものがあるのではないだろうか。
≪今のゲームと私と今後≫
スマホタイトルはあまりプレイしていないので、VRについて。
以前からアーケードのガンシューティングやFPSをプレイしていたが、VRゲームとしてのFPSはそれまでとまったく毛色の違うものであった。特に感動したのはHalf-Life: Alyx。
敵を狙い、撃ち、倒す。文字にすると以前からあるFPSと同じ流れだが、両手のコントローラーを使い自分でスコープやアイアンサイトを覗く、ただそれだけの動作がたまらなく楽しい。
この楽しさはやはり、従来の操作方法(キーボード、マウス、ゲームパッドなど)では味わえなかった、より体感的なゲーム体験によるものだと思う。
.hackやlainの作中で見た未来のデバイスが目の前にある、という興奮もある。
新体験という部分に注目すると、これからAR(拡張現実)とSR(代替現実)が導入されるのではないだろうか。
ARを取り込んだゲームがリリースされていけば、VRHMDのようにAR対応のスマートグラスもより高性能に、安価に手に入る時代がやってきそうだ。