【レビュー】師イップ・マン、ついに海を渡り愛弟子ブルース・リーと再会―『イップ・マン 完結』




かのブルース・リーの師匠にして“詠春拳”の最強の使い手、イップ・マンの活躍を描いた待望のシリーズ第4作――完結編が満を持して公開された。

過去3作で、池内博之演じる日本兵、カンフー映画界のレジェンド サモ・ハン・キンポー演じる拳法家、マイク・タイソン演じるアメリカ人の黒幕等々、壮々たる難敵と死闘を繰り広げてきたイップ・マン。

今回は愛弟子ブルース・リーに招待されて遠いアメリカはサンフランシスコの地を訪れる。

そこでは中国人への不当な差別から強く結束したチャイナタウンの武術家たちがいたが、中国拳法をよく思わないアメリカ海軍の空手家たちとの間に紛争が勃発。

否応なしに紛争に巻き込まれていくイップ・マンの決断と行動とは?

とにかくイップ・マンが強すぎるのに謙虚で優しくて質素、どこか抜けてるような可愛さも併せ持った人格者であることがこのシリーズの大きな魅力。

かねてからシリーズのファンである自分としては、尊敬の念を込めて、劇中の人たちのように「イップ師匠」と呼ばせてもらいたい・・・イップ師匠〜!

ブルース・リーの強さを味わえる贅沢な前半から、中国武術を世界に広めようとする彼と保守的な武術家たちとの摩擦、中国人の子供に対する学校での差別、イップ師匠と愛息子との確執等々・・・

様々な要素を盛り込みながら、物語は次第に父としてのあり方、中国人としての誇り、武術家としての誇りといったものの輪郭を浮かび上がらせていく。

どんな状況でも公正かつ冷静であろうとするイップ師匠が、どうしても引けない闘いにひとたび身を投じ、そこで見せる凄烈な拳さばき。

完結編の名に恥じない、これまでの全てを詰め込んだイップ師匠の魂の“詠春拳”、是非ともスクリーンの大画面を通して目に焼き付けてほしい。

 

『イップ・マン 完結』 あらすじ

1964年、サンフランシスコに渡った詠春拳の達人イップ・マン。彼は、弟子ブルース・リーとの再会や太極拳の達人ワンとの対立を経て、アメリカという異郷に生きる人々が直面する厳しい現実を知る。やがて中国武術を敵視する海兵隊軍曹バートンとの激闘の果てにワンが倒れた時、イップ・マンは、宣告された病を隠し、人々の誇り未来のために立ち上がる。香港に残して来た息子にある思いを伝えた彼は、ただ一人、最後の闘いへ進みゆく・・・。

■主演・製作:ドニー・イェン
■監督・製作:ウィルソン・イップ
■アクション監督:ユエン・ウーピン
■出演:ウー・ユエ、ヴァネス・ウー、スコット・アドキンス、チャン・クォックワン
■配給:ギャガ・プラス 

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