トム・クルーズ主演最新作、『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』が公開中だ。約30年の集大成と銘打っている本作は、急きょ国内で先行上映が決まるなど、盛り上がりをみせている。前作からグレース役で参加したヘイリー・アトウェルが来日。本人に話を聞いた。
――『ミッション:インポッシブル』は世界的な人気シリーズですが、前作で参加が決まった時、心境としてはいかがでしたか。
グレースという新キャラクターを観た観客が受け入れてくれるだろうかと、確かにとても責任感を感じました。ただ、トムとマッカリー監督は、完全に『ミッション:インポッシブル』シリーズのことを理解しているので、信頼するふたりに任せておけば、上手くいくことは分かっていました。彼らは、観客が何を望んでいるのかよく分かっているからです。
なので、わたしはいろいろなことを試すことができましたし、わたしが演じるグレースというキャラクターを彼らが守ってくれているという意識があったので、自由をとても感じていました。みんなに好かれようと思わなくてよかったんです。

――演じられたグレースの人間性については、どのように受け止めて演じられましたか。
グレースは外野として入ってきていますので、チームに馴染もう、やけに入り込もうっていう気持ちが最初はないわけですよね。初期のグレースはイーサンから逃げようともしているので、「この人、本当に信頼できる人?」って、みんなちょっと初めは疑うと思うんです。なので、その意味では、すごく独立性を持ったキャラクターだったと思います。
今作ではイーサンのチームの一員ではあるのですが、属するということは大切な仲間を失う恐れを抱えるということにもなるんです。自身の目的のためではなく、より大きな義のためにお互いを必要としあって、やらなくてはいけないことしなければ、という想いを持っているんです。
今までの彼女はかなり自分勝手で、自分のためだけに全部やっていたわけなのですが、今度は道徳感、倫理観、そういうものもできてくるし、仲間のためを思ったり、自己犠牲の精神も生まれてくるわけですよね。
――とてもサスペンスフルななか、グレースのリアクションで笑いを誘うシーンも印象的でした。
こういう映画の場合は、ちょっと笑える、ちょっと息がつけるような、少し軽めのシーンもあったほうがいいと思うんです。グレースが完全にイーサンを信頼しているわけじゃない段階で、ちょっと身の丈以上のことがいろいろと起こっていくということがあるんですよね。だから失敗もするし、トラブルにみんなを巻き込んじゃったり、迷惑をかけたりするので、そこがまた楽しいんです。
前作でイーサンと車を一緒に乗り回すシーンがありますが、誰かが入って来た時にイーサンが彼を投げ飛ばして、頭がフロントガラスから飛び出るシーンがありますよね。その時に「この人は誰? 何をしているの? いい人なのか悪い人なのか、わたしは一緒にいて安全?」と感じていたと思うんです(笑)。
なので今度の拷問室のシーンでも、今度はチームの一員だし、同じ側にいるはずなんだけれど、「こんなことするわけ?」って思う。イーサンは善人ではあるけれども、彼の行動を見て困惑してしまうんです。

――今回、『ミッション:インポッシブル』シリーズに参加したことで新たに気づいたことや、想いを新たにすることはありましたか?
トムが、「映画は僕の仕事じゃないんだ。僕自身なんだ」ってよく言っているのですが、わたしにとっての俳優という仕事も、ストーリーを語れるという本当に大好きなことをやれていると思っています。そういう世界の一部になれているということに感謝しています。
トムとクリストファー・マッカリー監督は、観客が何を望んでいるか、本当によく分かっているんです。
それはグレースについても、そうなんです。彼女がどのようにシリーズの中に入ってくるのか、新しさをどう持ち込み、主人公のイーサンとの関係がどういうものになっていくのかなど、完全にこのシリーズをよく知ってるふたりに任せれば上手くいくだろうって、わたしは信頼できたんです。
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