写真上:デイノケイルス前あし(展示は複製)、写真下:「むかわ竜」全身実物化石
※展覧会での全身骨格公開は世界初
© Institute of Paleontology and Geology of Mongolian Academy of Sciences 北海道むかわ町穂別産 むかわ町穂別博物館所蔵
上野の国立科学博物館で開催される「恐竜博2019」では、世界初公開となる謎の肉食恐竜「デイノニクス」の実物化石や、北海道むかわ町で発見された「むかわ竜」の全身実物化石などが公開される。さらに世界有数の化石発掘地モンゴルで新たに発見された化石などが東京に初上陸する。
「恐竜博2019」は、恐竜研究50年の歩みと最新成果を重要標本や実物の化石で迫る特別展。
展示会場は大きく分けて4つのゾーンから構成される。
■ゾーン1 恐竜ルネサンス
アメリカで発見された新種の肉食恐竜に、1969年「恐ろしいツメ」を意味する「デイノニクス」という名前がつけられた。この「デイノニクス」の発見から、恐竜研究の新しい時代が始まる。古生物学者ジョン・オストロム博士による「デイノニクス」の研究で、それまで考えられていたような愚鈍な恐竜のイメージが一新。素早く活発に動く生物で、鳥や哺乳類のような温血(恒温)動物だっ たのではないか、と考えられるようになった。オストロム博士の研究は、76年には恐竜から鳥類が進化していたとする 「鳥類の恐竜起源説」につながり、「恐竜ルネサンス」という新しい恐竜観の時代がスタートする。
恐竜は卵を産みっぱなしではなく、実は子育てをしていた!「羽毛がある恐竜」の化石を発見!など「恐竜ルネサンス」を時系列に紹介していく。
デイノニクス 復元骨格
© Courtesy of Yale Peabody Museum, photograph by Robert Lorenz
デイノニクス 右の手首から手の甲(実物化石)
イェール・ピーボディ自然史博物館所蔵
■ゾーン2 謎の恐竜「デイノケイルス」
1965年、世界有数の化石発掘地モンゴル ゴビ砂漠で発見された長さ2.4mの前あしの化石。当時そのカギツメ状の指先から「恐ろしい手」を意味する「デイノケイルス」と名付けられるが、その後、他の化石が見つからず、「デイノケイルス」は長い間、「謎の恐竜」といわれた。ところが近年、頭骨や胴体、後ろあしなどを含む2体の化石が発見され、幅広なクチバシ、背中の帆のような構造、指先が手のようにとがっていない足など、想定外の恐竜であることが判明。
本展では、「デイノケイルス」の頭骨など貴重な実物化石を世界初公開するほか、巨大な全身復元骨格も制作し世界で初めて公開する。
デイノケイルス 全身骨格図
© Genya Masukawa
デイノケイルス 頭部(実物化石)
© Institute of Paleontology and Geology of Mongolian Academy of Sciences
■ゾーン3 日本の恐竜世界
北海道むかわ町で発見された、ハドロサウルス類の新種の可能性が高い「むかわ竜」。現在までに全長8mを超える骨格の8割以上が見つかっていて、これだけ高い割合で骨が残っている大型恐竜の化石は国内でも初めて。
本展では全身実物化石とこれらの化石を元に復元した全身復元骨格を、地元のむかわ町以外では世界で初めて公開する。
また、「むかわ竜」が生きた日本の恐竜世界を迫力の4Kシアターで再現する。
「むかわ竜」 全身実物化石
北海道むかわ町穂別産 むかわ町穂別博物館所蔵
「むかわ竜」が生きた恐竜世界のCG
© NHK
■ゾーン4 「恐竜絶滅」に迫る
約6600万年前、地球に隕石が衝突。しかし恐竜は完全に絶滅したのではなく、その一部が現在も進化を続けていることが広く知られるようになった。「絶滅」前夜 最後の恐竜達はどんな生態系だったのか?鳥類以外の恐竜がどのように絶滅していったのか?そして哺乳類がいつ台頭し始めたのか?アメリカ・コロラド州で見つかった新しい化石産地での発見などからわかりつつある、新仮説を解説する。
隕石衝突のCG
© NHK
ちなみに、今回「恐竜博2019」の展示会音声ガイドには、放送作家の鈴木おさむが初出演・初プロデュースする。
筆者も小さい頃から恐竜が大好きで、今まで何度も国立科学博物館の恐竜関連の特別展には足を運んできた。
現代に生きていると、恐竜の存在はまるで映画の中の話のようだが、実際にこの地球に存在し、人類なんて比べ物にならない長い間地球の食物連鎖の頂点に君臨していた存在だ。彼らはまだまだ解明されていない点が多く、とてもロマンがある。
この夏の「恐竜博2019」に期待が膨らむばかりである。
【開催概要】
「恐竜博2019」
https://dino2019.jp/index.html
■会期:2019年7月13日(土)~10月14日(月・祝)
■会場:国立科学博物館(住所:東京都台東区上野公園7-20)
■開館時間:9:00~17:00(金・土曜日は20:00まで)
※8月11日(日)~8月15日(木)、18日(日)は18:00まで
※入場は各閉館時刻の30分前まで
■休館日:7月16日(火)、9月2日(月)、9日(月)、17日(火)、24日(火)、30日(月)
■料金(税込):一般・大学生 1,600円(1,400円)、小・中・高校生 600円(500円)、金・土曜日限定ペア得ナイト券2名1組 2,000円
※()内は前売料金、前売券の販売は7月12日(金)まで
※金・土曜日限定ペア得ナイト券は会場で当日17:00以降販売、2名同時入場限定
※未就学児ならびに障害者手帳を持参者とその介護者1人は無料
※今後の諸事情により、開館時間や休館日等について変更する場合あり
■チケット情報 : https://dino2019.jp/ticket.html
■問い合わせ先 : 03-5777-8600(ハローダイヤル) 受付時間 全日午前8時~午後10時
ライター:目黒 晴彦(YES!!!!編集部)