柿谷曜一朗が語るアスリートとSNS「一人で抱え込まず、もっと誰かに頼っていい」




日本オリンピック委員会(JOC)と日本パラリンピック委員会(JPC)は、愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会に向けたSNS誹謗中傷対策とアスリートの意識調査を発表。

「#言葉に6秒深呼吸」をキーワードに、SNS上での誹謗中傷を未然に防ぎ、温かい応援の輪を広げる取り組みをスタートさせた。

18日(金)、名古屋市内で発表会が行われ、JOC・JPCインテグリティ統括事業推進リーダーの谷本歩実理事が登壇。

選手やスタッフが安心して競技に集中できる環境を整えるため、「SNSモニタリング・削除申請」「法務支援」「セーフガーディングオフィサー、ウェルフェアオフィサーとの連携」の3つを柱としたサポート体制について説明した。

SNS上の投稿については、主要プラットフォームを対象にAIによる検知と専門スタッフによる目視、さらに弁護士による精査を組み合わせ、悪質な投稿に対して通報・削除申請を行う。アジア競技大会期間中には、9月17日12時時点でAIが検知した1万7872件のうち、41件について削除申請を行ったという。

また、大会期間中は弁護士が現地・オンラインで待機するほか、選手が被害に遭った際に相談できる「LINE相談窓口」も開設された。

こうした事後的な対応だけでなく、誹謗中傷そのものを生み出さない環境づくりにも力を入れる。

Google/YouTube、LINEヤフー、Meta、TikTok、Xなどのプラットフォーム各社をはじめ、メディアや交通事業者とも連携し、「#言葉に6秒深呼吸」を通じた広報・啓発活動を本格的に展開していく。

発表会の後半には、元サッカー日本代表の柿谷曜一朗も登場。

今回の啓発映像への出演について語ったほか、JOC・JPC所属のアスリート300人を対象に実施した「SNS利用に関する意識調査」の結果をもとに、谷本理事とのパネルディスカッションを行った。

調査では、81.3%のアスリートがSNSを通じてファンから「応援や励ましをもらっている」と回答。さらに60.3%が「競技を続ける力をもらった」と答えるなど、SNSがアスリートにとって大きな力になっていることが分かった。

柿谷も「直接届く応援は本当に勇気をもらえます」と話し、現役時代を振り返りながら、「柿谷らしくて面白かったよ」という言葉が自身にとって大きな支えになったと明かした。

一方で、SNSがアスリートに与える影響はポジティブなものだけではない。調査では、59.3%が「少数の否定的な言葉でも、多くの応援より強く残ることがある」と回答。さらに、約3人に1人にあたる33.7%が、誹謗中傷を避けるために「投稿を控えた」「当たり障りのない内容に変えた」といった行動を取っていることも明らかになった。

この結果について柿谷は、否定的なコメントについて「本当は傷ついたことを言っていい」とした上で、「1人でもメンタルが落ちている選手がいるなら僕たちがサポートしてあげないといけない」とコメント。

SNS上で受けた言葉を、選手自身が無理に隠す必要はないとの考えを示した。

また、ブロックやミュートをすることによって、相手に「自分の誹謗中傷がアスリート本人に認知された」と思われることを嫌い、あえて放置する選手もいると自身の経験を紹介。

その一方で、誹謗中傷を避けるために投稿を控えることで、本来なら選手のプライベートな部分も応援したいファンが、その姿を見る機会まで失われてしまうことへの寂しさも語った。

谷本理事も、選手から「誹謗中傷されていません」と言われてしまうと、それ以上踏み込めず、サポートを届けにくいケースがあったと説明。

選手同士の会話やTEAM JAPANとしての環境づくりを通じて、互いに助け合える環境を整えていきたいと語った。

最後に柿谷は、「自分が誹謗中傷されていると認めることがまず第一歩」と自身の考えを述べ、「一人で抱え込まずもっと誰かに頼っていい」と呼びかけた。

発表会終了後には、TEAM JAPANインテグリティチームの活動拠点となるSNSモニタリング室も報道関係者に公開。

愛知・名古屋アジア・アジアパラ大会期間中、アスリートに対するSNS上などでの匿名の誹謗中傷への対策を行っていく。