東京都主催による新事業発掘プロジェクト「GEMStartup TOKYO」の成果報告会が3月23日(木)開催され、同プロジェクト参加企業による活動成果報告とカーブアウト有識者によるパネルディスカッションが実施された。
大企業等の民間企業で培われたノウハウやアイデアを起業や新事業創出に結びつけるための取組み「GEMStartup TOKYO」の成果報告会は二部制で行なわれ、第一部では事業化プログラム採択者や企業支援プログラム参加企業による、発表を通じた成果報告を実施した。
続く第二部のパネルディスカッションでは、カーブアウト制度を活用した側・推進した側の立場から、新ビジネス創出における乗り越えるべき壁や、乗り越えるために必要なことについて栗原康太氏(株式会社才流 代表取締役社長)と、野澤直人氏(株式会社ガイアックス 執行役/株式会社ベンチャー広報 代表取締役)が、経験を元にリアルなエピソードを語った。
第一部の企業支援プログラム参加企業による成果報報告の一例では、小田急電鉄株式会社の経営戦略部 政光賢士氏と監査・内部統制室 辻田雅紀氏が、社内事業アイディア公募制度「climbers」へのサポートに関する成果報告を行なった。社内のリソースやサポート体制、社内審査通過の難しさなど課題を感じていた政光氏は、「企業支援プログラムに参加したことで挑戦者へのサポート体制が充実し、外部の知見や客観的な意見を取り入れることで円滑に検討が進みました」と参加によるメリットを説明。「climbers」の挑戦者である辻田氏は、「外部有識者からの知見の共有やアドバイス、プレゼンに向けた戦略を立てられたことから役員審査を通過できました」と成果を語った。
続く第二部では、「ビジネスパーソンの市場価値を高める『挑戦』への第一歩~リセットではなくアップデートに繋がるカーブアウトとは~」をテーマに、栗原氏と野澤氏がパネルディスカッションを行なった。
日本のイノベーションの現在地について野澤氏は、「徐々にスタートアップ、イノベーションが進んできてはいますが、世界規模で見ればまだまだ進んでいないと感じています。さらに社会にインパクト与えるような時価総額の大きいスタートアップを作れる起業家が少ないことが日本の課題」と自身の考えを述べ、一方の栗原氏は、「身近でも起業の成功事例や起業している人が多くなり、相乗効果で広がっていることを実感しています。そういう事例が日本でも徐々に増えているのではないか」と分析した。
その上で/新たなビジネス創出の「壁」にどう立ち向かうかという点について経験者である栗原氏は、自身の起業について「カーブアウトの制度がなければ起業をしていなかったです。会社に在籍している時に事業の検証ができたり、情報交換的に事業をサポートしてくれたので、スタートしやすかったですね」と当時を振り返り、野澤氏は、「起業家を創出することが、社会にとって良いインパクトを与えると思うためカーブアウトを推進しているんです」とガイアックスがカーブアウトを支援する理由について語った。また、野澤氏は、「組織としては一歩ひいて、より個を尊重し、個人が成長し、活躍できるかにどれだけコミットできるかが大切になってくると思う」と今後の組織のあり方について持論も展開した。
■日時:2023年3月23日(木)18:00~21:00
■場所:オフライン及びオンライン配信(参加費無料)
■登壇者:
栗原康太氏(株式会社才流代表取締役社長)
野澤直人氏(株式会社ガイアックス 執行役/株式会社ベンチャー広報 代表取締役)
■ファシリテーター:
瀧口友里奈氏(経済キャスター/株式会社グローブエイト代表取締役)
■内容:
<第一部>
・事業化プログラム採択者による成果報告(4社)
・企業支援プログラム参加企業による成果報告(2社)
<第二部>
パネルディスカッション「ビジネスパーソンの市場価値を高める『挑戦』への第一歩~リセットではなくアップデートに繋がるカーブアウトとは~」