【インタビュー】スチャダラパーがHondaの歴史をラップで紡いだ楽曲‟The Power of Dreams”を制作!その誕生秘話に迫る

スチャダラパー




10月24日(木)~11月4日(月・祝)まで開催された『第46回 東京モーターショー2019』に合わせて、スチャダラパーとHondaがコラボレーション。今回のコラボでは、Hondaの企業理念を冠した書きおろし曲”The Power of Dreams”が制作された。

The Power of Dreams”は、「FIT」「シビック」「シティ」「プレリュード」といったHondaの代表的な車種だけでなく、「ASIMO」や「HondaJet」も登場する、70年以上に亙るHondaの歴史を網羅したようなラップがとても濃密。レトロフューチャーな手触りのトラックもかっこいい。

この曲を使用したHondaのブランドムービー”The Power of Dreams”がHondaの公式YouTubeチャンネルほか、各種公式SNSアカウントにて公開中。

脈々と受け継がれるHondaの”ヒト中心“のものづくりの軌跡が、Hondaの歴史に欠かせない様々なクルマや、開発・販売当時の映像やポスターのサンプリングとともに描かれている。

そこで、スチャダラパーの3人に色々と訊いてみた。

 


スチャダラパー

――オファーが来たときはどう思いました?

Bose 「Hondaの歴史をラップでやる」という内容を聞いた時は難しいんじゃないかって思ったんですけど、打ち合わせする中でどんどんできあがっていきましたね。

ANI まずは本田宗一郎の半生が描かれたマンガ(『本田宗一郎本伝 飛行機よりも速い車を作りたかった男』)をHondaの方に渡されて、「それを読むように」って(笑)。

Bose 結構分厚いんですけど、「これを叩きこまないとできません」みたいな。いわゆる洗脳ですよね(笑)。それを読んだうえで、ツインリンクもてぎにあるHonda Collection Hallに行ってHondaの歴史に関する展示を見たんです。でも、宗一郎さんが最初のバイクを作ったことだけで1曲になるような濃い出来事が山ほどあるから、全部の歴史を1曲にするってなかなかだなって。ムービーを作ることが前提の話だったから、映像チームとも一緒に動きながら作って。

――できあがった楽曲”The Power of Dreams”は、歯切れの良いラップが前面に出ていて、トラックは後ろで言葉を際立たせるように鳴っています。

スチャダラパー

スチャダラパー・SHINCOさん

SHINCO Hondaの歴史を1曲にするってことはとにかく歌詞が長いんだろうなと思ったので、停滞しないイメージで作りましたね。

Bose シンプルにね。いっぱい言葉が出てくるからとにかく活舌良くね。

ANI Hondaから歌詞に入れてほしいってリクエストされたワードに結構渋いのもあったからね。「船外機」とか。でもどれもHondaの歴史には欠かせないものだからって。

Bose ”The Power of Dreams”っていうHondaの企業理念は、ずっと先の未来というより少し先の現実的な未来のイメージ。それも意識しました。

SHINCO 今回曲にCMで流れてる”The Power of Dreams”のIDをサンプリングして使ってますけど、テレビであのIDが流れるとビクッとするようになった。

Bose ね。あのIDを使った方が絶対おもしろいって思って、まずそれを使っていいかHondaの方に聞いたのはうちらならではだよね(笑)。他の曲でやろうとしてもなかなかできることじゃないし。

――Boseさんは、車雑誌で長年連載をやられていますが、Hondaのイメージというと?

スチャダラパー

スチャダラパー・Boseさん

Bose 自分も昔ホンダ・シティに乗ってたことがあって、あの頃の元気でポップなHondaのCMも含めて、昔からあのかわいいイメージが好きで。80年代後半のワンダーシビックとか、今見てもデザインとかすごく良いんですよね。スクエアな感じで、それこそ未来っぽいけど、実はカクカクしてる、ちょうどいい未来みたいな。

でもその感じは、新しいHonda eとかにも出てるなって思いました。そういうことも含めて、Hondaはデザインが先鋭的なイメージで。車を薄くかっこよく見せるためにエンジンを薄く作るとか。プレリュードとかね。

――スチャダラパーは来年デビュー30周年。Hondaは70年以上の歴史がありますが、今回Hondaの歴史を紐解きながら曲を作る上で、自分たちに重ねるところはあった?

Bose 30年でも大分長いからね。Hondaだったら30年ってどのあたりなんだろう?

ANI シティとか出てるくらい?

Bose めっちゃイケてるね。

SHINCO もともとバイクのイメージも結構あって。

スチャダラパー

スチャダラパー・ANIさん

ANI それで車もどんどん良いのが出てきたくらいの。

Bose でもうちらはこの30年間あんま変わってないよね(笑)。Hondaは規模がどんどん大きくなっていったけど。

ANI うちら社員減ったりしてるからね。最近自分で機材運んでる時あるからね。

――でも、変わらない安心感がありますけど(笑)。

Bose こっちは不安でいっぱいですけどね(笑)。

(インタビュー:小松 香里 / 写真:コヤマ ムサシ)


 

インタビュー終了後、東京モーターショー内の特設ステージでスペシャルライブがあるということで参加させてもらった。

満員の会場に登場した3人、MCでは「俺らと同じおっさんばっかじゃん!(笑)」と和ませつつ、次々と名曲を披露。

スチャダラパー スチャダラパー

終盤の”今夜はブギー・バック”で観客のボルテージは最高潮に。「これでスチャダラパー見た!って感じ出たでしょ?」と再び会場の笑いを誘う。

そして最後の曲は今回のコラボ楽曲”The Power of Dreams”。「多分この曲は今日しかやらないと思うから、楽しんでね!」のMCでスタート。

コンセプトムービーをバックに、3人の息の合ったパフォーマンスで会場中を一つに。時間を忘れてしまう大盛り上がりのまま、ステージを後にするスチャダラパーだった。

なお、”The Power of Dreams”が収録されたかわいいパッケージの限定カセットテープがスチャダラパーのルーツとも言える渋谷エリアの様々なショップで無料配布中。各ショップの在庫がなくなり次第終了となるのでお早めに。

Fit

2020年2月発売予定の4代目「FIT」

Hondaブース

全てを終えて立ち寄った『第46回 東京モーターショー2019』のHondaブースでは、創業70年を超えたHondaの歴史を感じられるだけでなく、少し先の未来がイメージできるような空間となっていた。

The Power of Dreams”を掲げるHondaは、私たちにまだ見ぬ夢と喜びを与えてくれるはずだ。