【レビュー】60年代のハリウッドに贈るタランティーノ流・鎮魂歌 ラスト13分、ブラピとレオが魔法をかける

【レビュー】60年代のハリウッドに贈るタランティーノ流・鎮魂歌 ラスト13分、ブラピとレオが魔法をかける




本作はタランティーノ監督が執筆に5年の歳月を費やした9作目。
舞台は1960年代後半、人気のピークを過ぎたテレビ俳優リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)と、スタントマンで親友のクリフ・ブース(ブラッド・ピット)のコンビの目を通して描かれる当時のハリウッド。

まずは161分の長尺に詰め込まれた、当時のLAの雰囲気や音楽、ヒッピーカルチャー、ファッションは贅沢の一言だ。

この長尺が向かうは時代の一点、ハリウッドだけでなく全世界を騒がせた1969年8月9日、チャールズ・マンソン・ファミリーによる女優シャロン・テート殺人事件・・・。

この映画は事件に対するタランティーノ流の鎮魂歌(レクイエム)といえるだろう。もしくは、「ハリウッド舐めんな!映画舐めんな!」」という叫びにも似た想いさえ感じてしまう。

同じカットにディカプリオとブラピがいるだけで嬉しいのに、2人を映画の魔法使いに仕立て上げる展開には、目を見開いて鳥肌を立てつつ、それでも体を震わせて笑ってしまった。

そして、魔法に気付いて涙ぐんだ。

いたるところにタランティーノ版「フォレスト・ガンプ」のような要素を散りばめながら、ただ、どこまでいってもタランティーノはタランティーノでしかないという。

この作品を見るにあたって1つだけ、シャロン・テート殺人事件のことを知らない人は、必ず内容や事件の影響などを調べてから観てほしい。

公式サイト:http://www.onceinhollywood.jp/

 


映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 あらすじ

リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は人気のピークを過ぎたTV俳優。
映画スター転身の道を目指し焦る日々が続いていた。そんなリックを支えるクリフ・ブース(ブラッド・ピット)は彼に雇われた付き人でスタントマン、そして親友でもある。

目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くことに精神をすり減らしているリックとは対照的に、いつも自分らしさを失わないクリフ。パーフェクトな友情で結ばれた二人だったが、時代は大きな転換期を迎えようとしていた。

そんなある日、リックの隣に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と新進の女優シャロン・テート(マーゴット・ロビー)夫妻が越してくる。今まさに最高の輝きを放つ二人。この明暗こそハリウッド。リックは再び俳優としての光明を求め、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演する決意をするが―。
そして、1969年8月9日-それぞれの人生を巻き込み映画史を塗り替える【事件】は起こる。

■公開日 : 8月30日(金) 全国ロードショー
■配給  : ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
■出演  : レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、エミール・ハーシュ
マーガレット・クアリー、ティモシー・オリファント、アル・パチーノ