【インタビュー】関水渚、「とても濃い3年でした。いろいろな人に大人にしてもらったなと」 俳優デビュー3年を述懐




偶然のいたずらでひとつ屋根の下で暮らすことになった二人の恋と、家族の繋がりを描くハートウォーミング・ラブストーリー、映画『いつか、いつも‥‥‥いつまでも。』が公開になる。海辺の小さな町で医師として働く主人公・俊英役を高杉真宙が、その彼の元へ現れる、彼があこがれていた女性と“ソックリ”な亜子役を関水渚が、それぞれ好演する。公開を前に関水渚に話を聞いた。

――ハートウォーミングな物語ですが、最初の印象はいかがでしたか?

自分の気持ちを素直に伝えられない、向き合えない若いふたりが、少しずつ自分にも向き合い、人に対しても心を開いていく。物語を通して、ふたりは生きやすくなっているなと思うんです。最初の頃のふたりよりも、いい意味で緩んでいく。それが客観的に観てよかったところでした。

――人はひとりでは生きて行けないという出会いの大切さもありますよね。

わたしが演じた亜子も、あの家族に囲まれたから素直になれたし、きよさん(芹川藍)がまっすぐに接して下さっていたから、亜子も気持ちを返していくことができた、どんどん成長していくことができたんだろうなと思うんです。彼女もひとりでいたのでは成長できなかったと思うんです。

――亜子を演じてみて、自分の経験に照らして思うことはありましたか?

自分に真っ直ぐに常に正直に生きていくことは、10代の頃は難しかったなと思うんです。今でも当時のような部分が出てしまうことがあるのですが、自分の気持ちを人に伝えたり発信したり、自分自身を受け入れること認めてあげることが難しくて。そのできなかったことは共感できますね。

――ところで、ドラマ「元彼の遺言状」(22)など話題作への出演が続いてますが、デビューからの3年を振り返ってみていかがですか?

とても濃い3年でした。いろいろな人に大人にしてもらったなと感じました。自分から学びに行ったということではなく、人に与えられた影響がすごく大きいんです。作品を通して桁違いの人たちと出会ってきたので、いろいろな素敵な先輩たちがいるのだなと思いました。

――その過程での学びや、自身の変化についてはいかがですか?

子どもの頃は人に対して「もっとこうならないかな」とか、自分に対しても同じようなことを思い、そのままの状態を受け入れられなかったのですが、この世界に入って会う方たちがみなさん素晴らしい人たちばかりで、その生き方も素晴らしかったので、その影響なのか、そのままを受け入れられるようになったんです。

――具体的なきっかけは何でしたか?

『コンフィデンスマンJP』(20,22)の時に、長澤まさみさんが「渚ちゃんは面白いからそのままでいいよ」と言ってくださったことがありました。長澤まさみさん以外でもそういうことが重なり、この3年で大人になったなと感じることはありますね。

――まさにこの映画のように、いい出会いが体現されていますね。

まさみちゃんとの出会いは大きかったです。まさみちゃんはすべての人に対して「そのままでいい、そのままで素敵だから」と本気で言ってくださるんです。相談したりすると、そう言ってくださる。いいところ、悪いところがあるのが人間だと思うのですが、それを全部包み込み、受け入れてあげる。それがその人なのだと言ってくださる先輩に出会えたことは、自分にとっても人としてのあこがれになりましたし、この考え方も目指せたらなと思いました。

――また、お芝居の面白さについては思うことはありますか?

繊細でなければと思うようになりました。特に丁寧にやっていくことが一番大事だなと感じていて、本当はがさつな人間なのですが(笑)、お芝居については丁寧に作り上げることが今とても面白くて、どんどん学んでいくことも面白く感じているところです。

――将来像はありますか?

以前は具体的に決めていました。課題もクリアして、「こうならなくちゃいけない」と思っていましたが、その考え方でいると苦しくなってしまったんです。なので今はどういう作品、どういう役柄を演じたいなどの願望はなく、いただける役柄を丁寧にやり遂げたいと思っています。ひとつひとつを大事にしていくことが、今もこれからも大切だなと思っています。

映画『いつか、いつも……いつまでも。』
2022年10月14日(金)全国公開
(C) 2022『いつか、いつも‥‥‥いつまでも。』製作委員会